J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年05月08日(木)    その一言でわたしの心は落ち着きました。

J (2.結婚)

9. 切迫流産 (3)


思い出さなければいいのに、いろいろな事が思い出される。

思い出すごとに私の頭は割れそうに痛くなる。

私は何本も何本もタバコを吸い、苦しみもがき頭を掻き毟る。



、、ああ、そうだ、、、

あの時私はうわごとでレイの名前を呼んでいたのだ、、、

そしてそれを友美さんに聞かれてしまった、、、(参照こちら



そのことを思い出し私の頭はカッとなりました。


違う!違う!あれは本当に違うんだ!
どんなことがあったって、たとえそうであっても、違うんだ!
オレにはトモミさんしか!トモミさんしか!


私はいても立ってもいられず、友美さんの傍らに行きました。

そして友美さんのふとんに入り込み、
眠っている友美さんを横から抱きしめてキスをしました。


友美さんはうっすら目を開けましました、、、。


・・

、、、純一さん?
、、うん、ごめんね、昨夜は、あんなで、、、

友美さんは首を横に振り、私の胸の中に顔を埋めて言いました。

、、、アリガト、うれしかった。


その一言でわたしの心は落ち着きました。
そして無性に友美さんが愛しくなってキツクキツク抱きしめるのです。



友美さんはいつもどおりの友美さんでした。

、、、つらくない?純一さん、たくさん飲んだから、
、、ちょっと、つらいかな、だから起きちゃって、

、、、今何時ごろなのかしら?
、、6時前だよ、、、、トモミさんはつらくない?

、、、大丈夫、よ、
、、でも、

、、、でも?でも、なぁに?純一さん、
、、うん、なんでもない。



私はすっと布団から出て立ちあがり普通の声で言いました。

「何でもないよ。トモミさん。あのさ、オレ、風呂入ってくる。
 もう少しゆっくり寝てていいからね。大切な君の身体、ゆっくり休めて。」


私はきょとんとしている友美さんの頬にちゅっとキスをして、
さっとタオルを取って部屋を出ました。


廊下を歩きながら私は思う。


、、夢の話はできない、と。



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