J (2.結婚)
8. 酔夢 (11)
私は必死でした。
頭の中からレイの虚像を払拭して、 友美さんのことだけに集中して、 ありったけの想いを込めて友美さんを愛撫しました。
友美さんの“カラダ”はもう既に何度も絶頂を迎えた後でしたので、 その余韻によって私の愛撫は彼女を恍惚の世界に導いていきました。
静かな悦楽の調べが彼女の身体を奏でているようでした。
私の“私自身”は友美さんの“カラダ”を離れた時のままでした。 依然としてほんのちょっとのシゲキでイッテしまいそうでした。
いつでもひとつになればそれでことが終わる、そんな状態でした。
やがて、、、。
私の身体がまた疲労を感じ始めました。 酔いによってまた頭がグラグラしてきました。
これ以上はまた先ほどの二の舞になるかというほどに、 懸命に友美さんを愛していた私にも限界が近づいてきたようでした。
私は友美さんに聞きました。 「トモミさん、イクよ、いい?、」と。
友美さんは穏やかな表情で答えました。 「うん、いっぱい頂だい、お願い、いっぱい、」と。
・・
私は友美さんの中に入っていく。
静かに、そっと。
私の“カラダ”は友美さんの“カラダ”の中に入っていく、、、。
静かに、そっと。
奥まで、奥まで、奥まで、、、
(あっ!)
(もう、イッテしまう、、、!)
なんともう“私”は極まってしまった! 友美さんの“カラダ”の奥まで到達したかしないかのうちに!
その瞬間、私は無我夢中で腰を動かしました。
乱暴なまでに友美さんを突き上げました。
、、トモミさん!、イ、イク、トモミさん!、
、、、純一さん!、いっぱい、いっぱいね、奥まで、もっと奥まで、、、
、、トモミさん!、あっ、トモミ!、さ、んっ!
、、、っ!
、、!
・・
、、私は友美さんの中で果てました。
思いを遂げた私たちには至福の余韻だけが身体に残りました。
安らかな時を迎えて私たちは眠りにつく。 お互いに身体を寄せ合って。
しかし、その時に、
ああ、その時に、
私の“カラダ”は何かを感じていたのです。
、、、果てた瞬間に、何かにコツンと当たったような違和感を。
それは酩酊の上でのこと、
夢と現実が移ろう中でのこと、
そう、気のせいだったのかも知れません、
そうであって欲しかった、、、。
(8.酔夢、の項 終わり)
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