J (2.結婚)
7. 初夜 (15)
果たしてその時にこそ私に冷静さが必要だったのだ!
身重の妻の身体を慮る慎重な推量をすべきだったのだ!
その時にこそ!
、、、その時にこそ、、、!
、、、ところがその時、
私は酩酊の一歩手前だったのです。
友美さんを満足に抱きひとつになって至福の時をふたりで過ごす、 それがためにこそ私は私の深層心理を麻痺させようと、 酔って自分を酩酊へと仕向けていた、その時の出来事だったのです。
「純一さん、もう私、酔ってしまったみたい、そろそろお部屋に戻りましょ?」
友美さんの顔色は少し蒼褪めていたかもしれません。 しかし私にはそれが判別できなかった、焦点の合わない私の眼。
「ん?、なんだ、なんだ?、これからっていう時にィ〜、」
「ええ、でも、あしたもあるし、それに、、、、ちょっと気分が、、、」
「なんだぁ、相変わらず弱いなぁ、君は、」
「ゴメンナサイ、、、」
「へへ、いいよ、じゃ、戻ろうか、オレも元気になったみたいだし♪」
私は笑顔で立ち上がって会計を頼みました。 部屋番号を伝えてキーで確認してもらいサインをする。
友美さんは、、、
立ち上がれない、ぐったりした様子。
「しょうがないなぁ、そんなに飲んでないのにぃ〜、ほら、つかまれよ、」
私とても足元がフラフラになっているところに、 酔った友美さんを抱きかかえてグラグラして歩き出す。
酒に酔って弱った友美さん。
もうあなたしか頼りがないのよ、とそういううつろな目。
私に抱きかかえられながら、
ゴメンネ、ゴメンネ、と繰り返す。
抱きかかえて感じる友美さんの身体。
、、、熱い。
その友美さんの乱れた姿態に、、、
私の“私自身”は猛々しく反応していたのです、、、。
ああ、なんということよ!
酩酊の一歩手前の私は、、、
友美さんの体調に注意を払う精神的な私よりも、 本能的な肉欲に駆られる動物的な私が勝ってしまった、、、!
部屋に戻ったらすぐに抱こう!
これなら大丈夫だ!
友美さんと満足にひとつになれる!
、、
酔った私は弱った友美さんを抱きかかえ、
ぐいぐいと引っ張るように部屋に連れ込むのです、
本能に任せて。
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