J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年04月22日(火)    ああ、なんということよ!

J (2.結婚)

7. 初夜 (15)


果たしてその時にこそ私に冷静さが必要だったのだ!

身重の妻の身体を慮る慎重な推量をすべきだったのだ!

その時にこそ!

、、、その時にこそ、、、!



、、、ところがその時、

私は酩酊の一歩手前だったのです。


友美さんを満足に抱きひとつになって至福の時をふたりで過ごす、
それがためにこそ私は私の深層心理を麻痺させようと、
酔って自分を酩酊へと仕向けていた、その時の出来事だったのです。


「純一さん、もう私、酔ってしまったみたい、そろそろお部屋に戻りましょ?」

友美さんの顔色は少し蒼褪めていたかもしれません。
しかし私にはそれが判別できなかった、焦点の合わない私の眼。

「ん?、なんだ、なんだ?、これからっていう時にィ〜、」

「ええ、でも、あしたもあるし、それに、、、、ちょっと気分が、、、

「なんだぁ、相変わらず弱いなぁ、君は、」

ゴメンナサイ、、、

「へへ、いいよ、じゃ、戻ろうか、オレも元気になったみたいだし♪」



私は笑顔で立ち上がって会計を頼みました。
部屋番号を伝えてキーで確認してもらいサインをする。

友美さんは、、、

立ち上がれない、ぐったりした様子。


「しょうがないなぁ、そんなに飲んでないのにぃ〜、ほら、つかまれよ、」

私とても足元がフラフラになっているところに、
酔った友美さんを抱きかかえてグラグラして歩き出す。



酒に酔って弱った友美さん。

もうあなたしか頼りがないのよ、とそういううつろな目。

私に抱きかかえられながら、

ゴメンネ、ゴメンネ、と繰り返す。



抱きかかえて感じる友美さんの身体。

、、、熱い。


その友美さんの乱れた姿態に、、、


私の“私自身”は猛々しく反応していたのです、、、。



ああ、なんということよ!

酩酊の一歩手前の私は、、、

友美さんの体調に注意を払う精神的な私よりも、
本能的な肉欲に駆られる動物的な私が勝ってしまった、、、!



部屋に戻ったらすぐに抱こう!

これなら大丈夫だ!

友美さんと満足にひとつになれる!


、、


酔った私は弱った友美さんを抱きかかえ、


ぐいぐいと引っ張るように部屋に連れ込むのです、


本能に任せて。



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