J (2.結婚)
7. 初夜 (14)
湯から上がり、待ち合わせ場所のソファーでしばし待つ私。 タバコを燻らしていると友美さんも上がってきました。
ホカホカして、にこやかに、、、。
「お待たせ、純一さん、」
「いや、ぜんぜん、」、、、。
私は友美さんにつられてにこやかに答えました。
「身体も温まったところで、少し飲みなおそうか、」
「え?、また飲むの、」
「うん、喉渇いちゃったしさ、それに、」
「それに?、」
「それに、夜はまだ長い、バーにでも行ってふたりの夜を楽しもうよ。」
「うん、、、、いいわ、」
友美さんは私とならば何をしてても楽しいのよ、とそんな表情でした。
私は友美さんに、 酔えば、きっと君とひとつになれるからねと、 心の中で手を合わせ誓いをたてるのでした。
酔って、肉欲の本能に己を委ねれば、きっと、、、と。
・・
バーは一階のロビーの脇にありました。
と言っても都会にあるようなシャレたバーではありません。
みやげ物やのとなりにある、昼はコーヒーショップとして営業している、 温泉旅館によくあるようなカウンター・バーでした。
私は一見してこれは色気が無いと思い、 寿司でもつまみに表に出ようかとも考えましたが、 あいにく私たちは湯上りで浴衣姿の着の身着のまま、 タオルをぶら下げての外出もこの時間からでは不自然なので、 仕方なくこのカウンター・バーに席をとりました。
友美さんはさして気にすることもなかったのでよかったです。
私はビールを頼んで、君も少しだけ付き合えよ、 とグラスをふたつ貰い友美さんにも勧めました。
先ほど食事の時にはやっと一杯のビールで酔ってしまった友美さんですが、 湯上りの友美さんは喉が渇いていたのでしょう、 グラスのビールをコクコクと飲んで、珍しく「おいしいわ、」と言いました。
私は酔いがかなり回ってきていましたので、 ビールをぐいっと飲んで、ウイスキーを飲み始めると、 いい加減に酔っぱらったようになったものでした。
酔って楽しげに会話するふたり、でした。
結婚までの思い出話、今日のエピソードや明日の行程、 ふたりで始める新生活、これからの楽しい生活の話、
そのうちに、、、
ちょっとエッチな話、努めてそういう話をする私、
湯上りの友美さんは艶っぽくて、 酔った私に性的魅力を感じさせるに十分で、
そして、
私の深層心理は麻痺してきた、
これなら友美さんを満足に抱ける、
そう思えてきた頃に、、、
友美さんは気分が悪くなってしまった、、、
飲めない酒を無理して飲んだがために、、、。
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