J (2.結婚)
7. 初夜 (13)
二人は再び最上階の大浴場に。
友美さんは女湯に、私は男湯に分かれます。
「そうだな、30分位かな、出たらあそこで待ってるよ。」
私は通路脇にあったソファーを指差してそこを待ち合わせ場所にしました。
浴室は湯気で立ち込めていました。 前面に大きなガラス窓、その向こうが露天風呂。
団体の泊り客が声高らかに談じ合う浴室内を避け、 私は扉をくぐり抜けて露天風呂に向かいました。
そして、身体を流してからすっと足を湯に浸す。
(熱い!、)
、、、私は熱い湯が好きでした。
ですからこのぴりぴりする感触が堪らなく嬉しくなりました。 私はひとりニヤリと笑み、静かに身体を沈めていくのでした。
見上げれば僅かな空間から星空が。
じっと星を仰ぎながら私は、「さてと」と、どうしたものか考えるのです。
どうしたものだろう、、、。
ものにならない“私自身”を手で弄り、何とかならぬかと問い掛けてみる。
答えなど、ないのに。
・・
熱い湯は私の中にあるアルコールを身体中に回しました。 しばらくすると私の頭はぐらぐらしてきました。
(これは悪酔いするかも知れぬ、、、)
そう考えて私は早々に上がることにしました。
湯から出た私は一瞬くらっとして、 酔いがかなり回っている自分に気づきました。
酔うとまた冷静さを失う私。 何度も繰り返す失態を、この期に及んでまた繰り返す、、、のか。
しかし、本当は、、、
ここはもう飲むしかない、 もっと飲んで酔っ払って、深層心理が働かないようにするよりない、 そういう意識が酔った頭の中で働いていたのだと思います。
酔わなければ、友美さんを抱けない。
酔えば、きっと友美さんとひとつになれる。
酔って、肉欲の本能に己を委ねれば、きっと、、、
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