J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年04月19日(土)    酔わなければ、友美さんを抱けない。

J (2.結婚)

7. 初夜 (13)


二人は再び最上階の大浴場に。

友美さんは女湯に、私は男湯に分かれます。

「そうだな、30分位かな、出たらあそこで待ってるよ。」

私は通路脇にあったソファーを指差してそこを待ち合わせ場所にしました。



浴室は湯気で立ち込めていました。
前面に大きなガラス窓、その向こうが露天風呂。

団体の泊り客が声高らかに談じ合う浴室内を避け、
私は扉をくぐり抜けて露天風呂に向かいました。

そして、身体を流してからすっと足を湯に浸す。


(熱い!、)


、、、私は熱い湯が好きでした。

ですからこのぴりぴりする感触が堪らなく嬉しくなりました。
私はひとりニヤリと笑み、静かに身体を沈めていくのでした。


見上げれば僅かな空間から星空が。

じっと星を仰ぎながら私は、「さてと」と、どうしたものか考えるのです。


どうしたものだろう、、、。

ものにならない“私自身”を手で弄り、何とかならぬかと問い掛けてみる。


答えなど、ないのに。


・・

熱い湯は私の中にあるアルコールを身体中に回しました。
しばらくすると私の頭はぐらぐらしてきました。

(これは悪酔いするかも知れぬ、、、)

そう考えて私は早々に上がることにしました。



湯から出た私は一瞬くらっとして、
酔いがかなり回っている自分に気づきました。

酔うとまた冷静さを失う私。
何度も繰り返す失態を、この期に及んでまた繰り返す、、、のか。


しかし、本当は、、、


ここはもう飲むしかない、
もっと飲んで酔っ払って、深層心理が働かないようにするよりない、
そういう意識が酔った頭の中で働いていたのだと思います。


酔わなければ、友美さんを抱けない。

酔えば、きっと友美さんとひとつになれる。


酔って、肉欲の本能に己を委ねれば、きっと、、、



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