J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年04月08日(火)    私はそれが静まるのを待ってから着替えました。

J (2.結婚)

7. 初夜 (2)


私は番頭さんに名前を告げ、今日の予約を確認してもらいました。

番頭さんは私たちの荷物を受け取り、部屋まで案内してくれました。

しばらくして係りの女性が宿帳を持ってきて、私はそこへ記帳しました。



工藤純一、そして、妻、友美、と。


書きながら私はちょっと照れて、
友美さんに「妻、だって、」と笑顔を向けました。
友美さんもまた顔を赤らめて、ただ下を向いたものでした。

係りの女性に私は「新婚旅行なんです、よろしく、」と、
弁解するようにことさら大きな声で話しました、照れ隠しのように。



部屋は和室でした。


記帳がすむと私は立ち上がり、窓を開け外の景色を眺めました。
そこは街中でしたので、向かいの旅館が見えるだけでしたが。

食事は6時ごろでよろしいでしょうか?という係りの女性の問いに、
私は、ええ、それで、とお願いをし、ちらと時計を見ました。
5時を過ぎたころでした。

私は少し考えてから、やっぱり7時に、と訂正しました。
ゆっくり温泉に浸かりたい、そう考えたからです。



・・やがて係りの女性は茶を入れてから下がりました。


「やれやれ、っと、友美さん、くたびれた?、」

「ううん、大丈夫、純一さんこそ、運転おつかれさま、」

「まあね、ちょっとくたびれたかな、昨日の今日だし、、、
 さ、温泉に入ろう、食事の時間まで時間あるからさ、」

「露天風呂、あるんだよね、楽しみ〜、、」


・・

お茶を飲み、一服つけてから、私たちは浴衣に着替えます。

友美さんは恥ずかしそうに部屋の隅で着替えました。

私は部屋の真中で「なんだよぉ〜、こそこそとぉ〜」とか言い、
そう言いながらも顔は笑って友美さんを眺めていました。


実は、、、。

新妻の着替える一部始終を見ながら私の気分は高まり、
私はなんとかものになりそうな“自分”を見出していたのです。


私はそれが静まるのを待ってから着替えました。


浴衣では目立ってバツが悪いものですから、、、。



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