J (2.結婚)
7. 初夜 (1)
結婚して初めての身体の交わり。
そのことに対して友美さんは大切にしたいと考えていました。
いつもとは違う、そう、ひとつの儀式のように捉えてたのでしょうか。
朝方、昨夜のアルコールが大いに残っている私が、 ジェラシーから異常な心持ちになり彼女を抱こうとした時、 彼女はきつい態度で私を拒んで「夜に、」と言ったのでした。(参照こちら)
そして私たちは今まさにその時を迎えようとしている。
初夜を、、、。
私には不安がありました。
私の身体はものになるだろうか?
私は確かに今朝もジェラシーから欲情したのです。 しかし実際に事が進んだ場合、はたしてきちんと結合できたかどうか、 そう考えると不安を覚えるのでした。
私の“私自身”は友美さんの妊娠を知ったその日より、 友美さんに対して満足な男になることがなかったのです。
自分にはこう言い聞かせていました。 妊娠して2〜3ヶ月は、妊婦にとって非常に不安定な時期でもあります。 だから、自分は友美さんのためにそうした欲望を抑えているのだと。
彼女のために、深層心理が働いて、そして身体が自己制御している、 そんなふうに私は自分に言い訳をしていたのです。
そして私たちはもうすぐその時を迎えるのです。
結婚して初めての身体の交わり。
初夜を、、、。
・・
私の運転する車は熱海市内の温泉旅館に着きました。
そこは近代的な建物でした、しかし由緒ある旅館であるようでした。
入口で番頭さんが立っていました。
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