J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年04月05日(土)    しかし、なんとかしなくては。

J (2.結婚)

6. 錦ヶ浦にて (5)


一歩一歩、階段を下る私と友美さんでした。

潮風が友美さんの肩までのびた髪を揺らします。

私は彼女の髪を撫で、またキスをしたくなるのです。

黒く艶やかな友美さんの髪。


私は大好きでした。


私は今ならば友美さんを満足に抱けるのではないか、
そんな精神状態に自分がなったことを悟りました。

何故なら、何故なら私の“私自身”が強く反応していたからです。

熱く、熱く、熱していました、、、。


実は私は友美さんの妊娠を知って以来、
彼女とひとつになることを避けていました。

あの晩私の“私自身”はものにならなかった、
それが繰り返されるのを恐れていたからです。(参照こちら


しかし。

そう思った瞬間、私はまた萎えてくる自分を感じました。

さきほど思ったことを思い出してしまったからです。



  友美さんのお腹には、、、

  生まれたばかりの命が静かに息づいている。

  私たちが景色に見とれている間も、
  私たちがキスしている間も、
  私たちが、そう身体を重ね合う時も、、、



そのことは友美さんには内緒にしてありました。

それを言うと彼女はまた、

自分のせいだと彼女自身を責めそうでしたので。


しかし、なんとかしなくては。

もうすぐ、私たちは初夜を迎えるのだから、、、



(6.錦ヶ浦にて、の項 終わり)



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