J (2.結婚)
6. 錦ヶ浦にて (4)
少し肌寒さを感じた私は友美さんにジャケットを着せてやりました。
「大丈夫よ、純一さん、」
「いや、君は君だけじゃない、だから、ね、」
友美さんとともにいる私たちの子ども。 生まれたばかりの命は静かに息づいている。
私たちが景色に見とれている間も、 私たちがキスしている間も、 私たちが、そう身体を重ね合う時も、、、
そう、そうなんだ、 だから君と僕は忘れていてはならない、 僕たちはもう僕たちだけじゃないってことを。
友美さんはにっこり微笑んで、「うん、」と言いました。
「さ、行こう、ちょうどいい時間だよ、」
私はそう言って坂を下り始める、
友美さんの肩を抱きながら。
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