J (2.結婚)
6. 錦ヶ浦にて (3)
「、、、」無言で友美さんは恐る恐る絶壁を見下ろしました。
私の手をぎゅっと握り締めて、、、。
私は彼女の肩を抱き、肩越しに海を見る。
岩肌に砕け散る波、大きな飛沫が舞い上がる。
「きゃ、」
友美さんは小さく叫び私の中に顔を埋める。
、、、。
「さ、今度は上に行こう、」
私は友美さんの肩をぽんと叩いて歩き始める、、、。
きつい階段でした。 国道を渡ってさらに上へ上へと続く階段。 私たちは汗をかきながら一歩一歩上っていくのです。
ふたり手をたずさえて、、、。
階段を上り詰め、振り返ると大きな海が広がりました。
私たちは肩を寄せ合って飽きることなくその海を見ていました。
心奪われて、、、。
私はふっと気づいたように友美さんに話しました。
「友美さん、」
「何?、純一さん、」
「よかったね、ここに来て、だって、とっても素敵じゃないか、すべてが!」
「うん、」
「オレ、南の島なんかより、ここの方がずっといい、」
「、、、うん、」
ありがとう、と言いかけた友美さんの唇に、
私はやさしくキスをしました。
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