J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年04月03日(木)    ありがとう、と言いかけた友美さんの唇に

J (2.結婚)

6. 錦ヶ浦にて (3)


「、、、」無言で友美さんは恐る恐る絶壁を見下ろしました。

私の手をぎゅっと握り締めて、、、。



私は彼女の肩を抱き、肩越しに海を見る。

岩肌に砕け散る波、大きな飛沫が舞い上がる。

「きゃ、」

友美さんは小さく叫び私の中に顔を埋める。

、、、。


「さ、今度は上に行こう、」

私は友美さんの肩をぽんと叩いて歩き始める、、、。



きつい階段でした。
国道を渡ってさらに上へ上へと続く階段。
私たちは汗をかきながら一歩一歩上っていくのです。

ふたり手をたずさえて、、、。


階段を上り詰め、振り返ると大きな海が広がりました。

私たちは肩を寄せ合って飽きることなくその海を見ていました。

心奪われて、、、。



私はふっと気づいたように友美さんに話しました。


「友美さん、」

「何?、純一さん、」

「よかったね、ここに来て、だって、とっても素敵じゃないか、すべてが!」

「うん、」

「オレ、南の島なんかより、ここの方がずっといい、」

「、、、うん、」


ありがとう、と言いかけた友美さんの唇に、

私はやさしくキスをしました。



  < Pre  Index  New >    


INDEX+ +BBS+ +HOME+ 
この物語はフィクションです。

My追加

+他の作品へのリンク+・『方法的懐疑』(雑文) ・『青空へ続く道』(創作詩的文章)