J (2.結婚)
5. 新婚旅行 (11)
友美さんは少し考えるような仕草をし、
そしてこう答えました。
「う〜ん、よくワカンナイ、、、。」
いつでも友美さんはこうでした。 他人について自分の意見を述べることがない。 当り障りのない言葉でその場を濁す。 決して敵を作らない生まれついての性格が彼女をそうさせていました。
けれど、、、私は聞きたかった。
ちょっとだけ、ちょっとだけでいいんだ。
オレのジェラシーを抑えるために、ちょっとだけ、、、
私は思い切ってこう聞きなおしました。 思い切って。
「トモミさんは彼を子どもの時からよく知っているんでしょ? 君の知っている彼ってどうなんだろうなぁ、もてないタイプなのかなぁ?」
・・・友美さんはすぐには答えませんでした。
言葉を探しているようでした。
・・・私は待ちました。
少し間を置いて友美さんは言いました。
「お人よしなのよ、ケンジって、、、。みんなからの人気はあるの。 みんなからケンジ、ケンジって声かけられて、みんなから慕われてるの、 でも、、、いいように使われいて、、、。いい人ってかんじかな、、、」
いつしか二人の車は熱海に入りました。
私はロングビーチ沿いに車を走らせる。
友美さんは車窓の外の海を見ていました。
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