J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年03月26日(水)    しかし、君はあの時、あの男を見ていたね!

J (2.結婚)

5. 新婚旅行 (10)


私と友美さんは社内恋愛です。

それも交際らしい交際は数ヶ月のことに過ぎず、

友美さんの21歳の誕生日の夜、

私は感極まった友美さんに思わずプロポーズをしたのでした。(参照こちら


私は友美さんを、友美さんは私を、その時から深く知り、
それ以前のお互いのことは殆ど知る由もありませんでした。

ふたりはふたりの結婚を実らせるためにふたりの時間を過ごしたからです。


私が何かしら友美さんの過去について知ったところで、
そして結婚をした今となっては何も変わることはないのですし、
かえって無用の心労をお互いにするだけのことなのです。



そんなことは分かっている。


いいよ、高校時代のことなんて、
いいよ、祭りの時にあの男と一緒にいたのであっても、
いいよ、あの青いセーターをあの男にプレゼントしたのであっても、


いいよ、いいよ、いいよ、

今、君がここにいて、君の心が僕のものならば、、、

いいよ、、、

いいんだよ、、、


しかし、君はあの時、あの男を見ていたね!
オレじゃなくって、あの男を!


そこだけなんだよ、、、


そこだけなんだよ!
オレの心がジェラシーに囚われている原因は!

、、、。


だが。


けれども。


私は、、、聞くのはやめようと決めたんだ。

だから、だからだからだから、

ちょっとだけ、教えてくれよ。


あいつはどんな奴なのか、ってことだけを、、、。



私はそんな心中の葛藤をまったく表に出しませんでした。
変わらない態度と口調を保ったまま話を続けました。
にこやかに話し、落ち着いて運転をしている私です。

「高校もかぁ、じゃ、トモミさんとはホントに小さい時から一緒だったんだね。
 彼、優しそうだから女の子に人気あったんじゃない?」



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