J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年01月30日(木)    いくら恋愛感情を封印したとはいえ、

J (2.結婚)

2. 引越し (2)


レイと私の間にはあの夜のあのこと以来(参照 こちら)、

依然として見えない溝がありましたが、

表面上はぴったり息の合った上司と部下の関係に見えていました。


それもそのはず、
あの夜のあのことは二人以外には誰も知り得ないことでしたし、
私といえばそのことすら記憶にないとしてウソをついていたからです。



あの夜のあの出来事を知らない同僚たちは、
私の引越しに“当然”にレイが手伝いにくることとして考えていて、
その時点でレイと私とに如何なる精神的苦痛があったとしても、
レイも私もその“当然”の圧力に抵抗することは不可能でした。



私は何日か前に友美さんの実家で一晩を過ごし、自分を取り戻していました。

レイといても以前のような寂寥感に襲われることもなくなってはいました。


しかし、、、

いくら恋愛感情を封印したとはいえ、プライベートな私の引越しを、
当の本人のレイに手伝ってもらうことは、本当は気が進みませんでした。



レイの内心について言えば、その時点では私には分かり得なかった、、、


ただしその数年後、

レイと私が恋愛関係に落ち入った時に聞いた思い出話では、

やはり私の幸せそうな新婚生活を垣間見るようで、

気分的に辛いものもあったそうでした。



そんな私とレイでした。



が、私の同僚たちはそんなことはまったく知る由もなく、、、


みな善き人として、

私と友美さんとの結婚を祝う気持ちが溢れていて、

少しでも力になってやりたいと私の引越しを手伝ってくれるのでした。



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