J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年01月23日(木)    客間にはふとんがひとつ敷かれていました。

J (2.結婚)

1. 結婚前夜 (12)


友美さんの実家はご商売をなさっているので、
一階に店舗、その奥に居間と食事室及びキッチンと水周り、
二階にご夫婦の寝室と二人の子供部屋、そして客間がありました。

客間として使用している和室は東向きの道路に面したところにあり、
配置としては階段を上がって一番奥にあたるところでした。


私は風呂から上がると居間にいらっしゃった友美さんのご両親に、

「ごちそうさまでした。では一晩ご厄介になります。」

と挨拶をして、友美さんに案内されながら二階へ上がりました。


、、、と、後ろから友美さんのお母様もついて上がってこられました。


(やれやれ、これじゃ、キスもできない、、、)

私は半ば諦めて事の成り行きに身を任せることにしました。




客間にはふとんがひとつ敷かれていました。


案の定、私は友美さんと別の部屋で寝るのだ、、、


結婚前、当然といえば当然、だけど、、、


当たり前のようにそうされているのも、ちとカナシイ。



友美さんのお母様は私の気持ちを察してか察してないか、
「もう少し早い時間だったら、ゆっくり友美とも話ができたのにねぇ、」
というようなことを、ふとんを整えながら言いました。

私が「いえ、今夜は遅いですし、急のわがままでしたから、、、」というと、
お母様は「ホントに、」と肯定表現で相槌を打たれたのでした。


そして、、、

お母様は、「では、ごゆっくり、」と言って、
友美さんを促すようにして、二人で客間を出て行こうとしました。

友美さんはさびしそうな目を私に向けましたけれども、
母親の手前、自分がこの部屋に残ることはできないようで、

「おやすみなさい、何かあったら言ってね、私の部屋、隣だから、」

と言って部屋を出て行きました。



襖は閉められました、、、


私は、これはいかん、と思いました。

とっさに襖を開け、「あっと、友美さん、ちょっと、あれ、」
と、友美さんに声を掛けました。

階段を降りかけていた友美さんは、「え?、」と振り返りました。


私は、チョイチョイ、と手招きをしました。



オヤスミのキスぐらい、しようよ、、、



  < Pre  Index  New >    


INDEX+ +BBS+ +HOME+ 
この物語はフィクションです。

My追加

+他の作品へのリンク+・『方法的懐疑』(雑文) ・『青空へ続く道』(創作詩的文章)