J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年01月17日(金)    レイとのことは、私はどうかしていたのだ、

J (2.結婚)

1. 結婚前夜 (6)


仕事については、多忙極まりなくなってきました。

私はレイと得意先ごとの綿密な引継ぎをし、
私の不在中に全てが滞ることなく進むように配慮しました。

セクション内での打ち合わせも何度も行ってもらい、
経験のないレイをフォローしてもらうよう十分に手回しをしました。


日中は相変わらずレイと同行しました。

二人は一緒にいながら、離れているようでした。

レイとは仕事上の話をするのみで私的な会話は一切しませんでした。


仕事の話は私が一方的に話しました。
レイはメモを取り、分かりにくい点は質問しました。

仕事の話が終わると私たちは無言になりました。


得意先を訪問する直前に、二人は急に近づき、
示し合わせたように笑顔を作りあってから、訪問するのでした。


私の中にある気まずい感情も、レイのよそよそしさも、
次第にそれに慣れてきて、それが当たり前の関係になりつつありました。


これで、いいのだ、


私はそう思いました。



私には、生まれてくる子どもがいるのです。

私には、その子どもを産んでくれる友美さんがいるのです。



それに、、、

結婚式はもう目前なのです。


レイとのことは、私はどうかしていたのだ、

そう思って、闇の中へ葬り去ろう、、、


しかし。

本当は、、、私は、なんとなく寂しさを感じていたのです。

誰にも言うことができない、

自分でも認めることができない、

心のうちの寂寥感、、、


、、、ケッコンシキハモウモクゼンナノニ、!



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