J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年01月16日(木)    私のその気まずさは、

J (2.結婚)

1. 結婚前夜 (5)


レイと私は、あの日以来特別なことはありませんでした。

ただ、私の中に気まずいものが残っていたこと、

そして、レイの態度によそよそしいものがあったこと、ぐらいのことでした。



それは当然のことでした。

私は私の心のうちにレイへの恋愛感情の芽を見出し、
もう二度と芽が出てこないように固く閉ざすことを選択したのですし、

レイは初めて二人で飲んだ夜に私がレイを抱きしめた行為について、
私の酒に酔った上での勢いによるものであって、かつ、
その夜の一切を記憶にないとした私の卑怯なウソを間に受けていたからです。(参照 こちら



しかし、私のその気まずさは、

私がレイ対してついたウソによるものではありませんでした。


私は、

私の心に芽生えたレイに対する恋愛感情を、

当人のレイに悟られたように感じ、

そのことが気持ちの上でレイに一札取られたような、

そんな後ろめたさ、気まずさ、を持っていたのです。


(このレイに一札取られたような、後ろめたい私の心理は、
 今後の私とレイの関係に微妙な力関係を与えていくのです、)



レイは友美さんの妊娠について知っている。
レイは私のレイに対する恋愛感情を知っている。
レイはあの晩私に抱きしめられたことを知っている。

そして私が記憶にないとしたウソも、、、
本当はそれがウソであるということも、、、レイは知っている、のではないか、?



けれど、、、

そのような後ろめたさ、気まずさ、

そして、レイが私に取っているよそよそしさ、も、

この期に及んでは、私にはそのまま忍受するよりないことでした。



私には、生まれてくる子どもがいるのです。

私には、その子どもを産んでくれる友美さんがいるのです。



それに、、、

結婚式はもう目前なのです。


私の内部の感情など、どうでもいいことなのです。



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