J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年01月15日(水)    結婚式を上げるまでは、

J (2.結婚)

1. 結婚前夜 (4)


友美さんのご両親、特にお母様はそのことを心良くは思われませんでした。

いえ、子どもが生まれるということには大きな喜びを持たれましたが、

婚前にそうしたことになったことに対して、不満を持たれたのでした。



私と友美さんとの結婚は、以前にも書きましたが、
当初、友美さんのご両親にかなりの反対をされました。(参照 こちら

半年の月日を要して、やっと結婚の許しを得た日にも、
私は友美さんのお母様からきつく釘を刺されていたのです。

「工藤さん、せっかくですが、結婚式を上げるまでは、
 子どもを作るような振る舞いはしないで下さいね、
 いまどきの人は節操がないから、申し上げておきます、
 お父さんが結婚を許したからといっても、まだ友美はうちの娘です、
 あなたも友美と結婚するまでは他人です、
 何が起こるか分からない世の中ですから、そのことは忘れないで下さいね、」

友美さんのお母様はこのように私に話されていたのです。


この時の私は、一にも二にもありませんでした。

ただ結婚の許しを得たという喜びが先に立ち、
こうした話にも、ははー、と頭を下げて聞いたものでした。



少ししてから考えてみると、随分と失礼な話でもありました。


私はそんな節操のない人間じゃぁ、ありませんですぜ、

とばかり、ひとこと言っておけばよかった、と後悔もしました。


しかし、、、

それが実際に、婚前に妊娠させてしまったという事実の前には、

どう言葉を並べようが友美さんのご両親から私への信頼は、

金輪際、得られるものではなくなってしまったのですが。



私は友美さんのお母様とお話する都度に、
その言葉の端々に冷たいものを感じました。

私はちょっとツライものも感じました。


ですが、

そんなことは私にとってささいなことでした。


私には、生まれてくる子どもがいるのです。

私には、その子どもを産んでくれる友美さんがいるのです。



それに、、、

結婚式はもう目前なのです。


なんのかんの、言ったり、考えたり、
そんなことをしている場合ではなくなってきていたのです。



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