J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年01月09日(木)    今度は私のレイを抱く力が見る見る抜けていきました。

J (1.新入社員)

6. 初めてふたりで飲んだ夜 (16)


レイの瞳から溢れんばかりの涙を見た瞬間、

今度は私のレイを抱く力が見る見る抜けていきました。



レイはその瞬間のスキをつくように私を追いやり、

「おやすみなさい、、、!」と言って私から去ろうとしました。


私は我に帰りました、

そして、「レイちゃん!、待って!」と声を大きくして呼び止めました。


しかし、、、

レイは振り向きもせず走っていってしまいました。



悄然とそこに立ち竦む私、

私は取り返しのつかないことをしてしまった、、、

こんなオトコは最低だ、、、


私は自分を辞めたく思いました。

こんなオトコは何もかも失うべきなのだ。
こんなオトコは人を愛したり人に恋をしたりする資格はない。
こんなオトコは人から愛してもらう価値はない。


ともかくも、レイに詫びよう。

レイの部屋に行こう、、、


いや、それはダメだ!
そればっかりは絶対にダメだ!

一人暮らしの女性の部屋に、
この深夜に行くなんて、、、絶対にダメだ!


ぐるぐると頭の中に渦巻く否定の言葉。

その言葉の渦の中に、見え隠れしている何かがある。

それは何?


、、、トモミさん、、、

、、、生まれてくる子ども、、、


私はその場に硬直して動けない、、、

私は自分を失ってしまいそうでした、、、



、、、「お客さん、お客さん!、どうするんですか、」

タクシーの運転手さんが硬直した私を呼び覚ましました。

「うん、ゴメン、、、ナサイ、、、」私はタクシーに乗り込みました。

「どちらへ行きますか?」と運転手さんは聞きました。


私は、、、

私は、自宅には指示をせず、夜の繁華街にお願いしました。


私の精神状態は、もう酒に逃れるよりなかったのです。



その夜私は、朝まで、自分が無くなるまで、酒を飲みました、、、



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この物語はフィクションです。

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