J (1.新入社員)
6. 初めてふたりで飲んだ夜 (13)
レイが一人暮らしだから、、、
だからといって、
私が何かを考えた、ということは決してありません。
レイは、、、
ちょっと躊躇したように見えました。
私はそういう雰囲気をすっと感じましたので、
「レイちゃん、オレが送り狼になるかも?、なんてことは絶対無いぜ。 妙な心配は無用だよ。、、、へへ、それともなって欲しいかい?」
と、おどけて言いました。
レイは、「そんなぁ、」と言ってクスクス笑い、 「でも、工藤さん、遠回りになっちゃうでしょう?」と言いました。
私は、「大丈夫、それより君が心配だから、」と言いながら、 大通りに出て、タクシーを停めました。
「さ、乗って、乗って、」 私はレイをタクシーに乗せ、 「、、、えっと、運転手さん、○×町のほうに、」と行き先を告げました。
タクシーの中では運転手さんがしきりに話しかけてきました。
私は運転手さんの話に適当に応対をしていました。
その間は、先ほどのレイへの狂おしい思いも薄れていました。
しかし、いよいよレイの住む町に入り、
もうじきレイを車から降ろすという頃になって、
私はとてつもなく寂しい思いに駈られたのです。
私は急に無言になりました。
レイも、、、
黙っていました。
|