J (1.新入社員)
6. 初めてふたりで飲んだ夜 (8)
友美さんはそのことを「誰にも言わないでね」と、 念を押して私に話していました。
レイについ、話してしまった私。
しまった!、、、と思いましたが後の祭りです。
こうした場合、私は誤魔化すことが苦手なタイプです。
というより、
正直にありのまま伝えて相手に理解を求める、 そうすることにより自分自身に整合性を与えたい、 そういう“バカ正直”とも言えるタイプの人間でした。
レイは私の顔を見て、とてもビックリした表情をしました。
私は、 「思い当たるふしがあってね、たぶんそうだと思うんだ、 トモミさんはまだ確定じゃない、っていっているんだけどね、」 と付け加えました。
レイは、急に無理な作り笑いをして(私にはそう見えました)、 「そうなんですか、、、おめでとうございます、」と言いました。
私はさらに付け加えて、 「でね、この話は極秘中の極秘だよ、内密に頼むね、」 とレイに口止めを依頼しました。
レイは、 「ハイ、分っています、マズイですものね、結婚前じゃ、」 と言いました。
少しして、レイはボソッと言うように話しました。
「でも、これで確定ですね、、、工藤さん、」
確定?、、、何が?、 トモミサンの妊娠はまだ確定じゃないって言ったじゃないか、、、
私はレイが何を意味しているのか一瞬には理解できなかった、、、
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