J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年01月02日(木)    その時、何かが私の中でうごめきました。

J (1.新入社員)

6. 初めてふたりで飲んだ夜 (9)


私はレイがよく理解していないのかと思い、もう一度、

「いや、トモミさんはまだ確定じゃないって、、、さ、」

と言い、レイの意図することを窺うようにレイの顔を見ました。


レイは、ウィスキーのグラスを見つめていました。
そしてホッとするような表情でひと口ウィスキーを飲みました。


「ハイ、そうですよね、工藤さん、
 もう私、今の話忘れましたから、心配しなくても大丈夫ですよ、」

「うん、そっか、ありがとう、じゃ、話題変えようか?、」

私もホッとして水割りをごくりと飲みました。



ただ内心は、微妙に心が揺れていたのです。

というのは、
先ほどのレイの言った「確定」の意味が、
どうも友美さんの妊娠とは違う意味にも取れましたので。


それは、
私と友美さんがそういう関係であると言うこと、

つまり、
私は友美さんと結婚をし、子供をもうけ、
これからの私の一生を結婚という枠の中で友美さんと共に過していく、

そのことをレイに向かって明らかにした、


レイは、そのことを聞いて、

これからの私のそういう一生について、これで確定した、

と言った、


私にはそのようにとれたのです。



これで確定か、、、

そう言われてみれば、そうだな、、、



その時、何かが私の中でうごめきました。


それは、

レイに対する、狂おしいほどの恋愛の情、でした。



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