J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2002年12月19日(木)    私は優しく彼女を抱きました。

J (1.新入社員)

4. 花火の夜 (10)


その夜、私たちは初めて結ばれました。

私の強い意思を感じ取った友美さんは、
私の申し出にただこくんと頷くよりなかった、、、


花火はまだ続いておりました。

夜空には一面に、どん、と鳴るごとに、
花火が華やかな光を散りばめられては消えていきました。

私たちはこの刹那のようでした。

ふたりは放たれた火の粉のように、
川沿いのネオンが艶やかなホテルへと消えていきました。



ベッドでの友美さんは無言でした。

固く目を瞑り祈るようでもありました。

しかし彼女自身は、しっとりとしていました。

潤んだ瞳のようでした。

私は優しく彼女を抱きました。

しかしその瞬間は野獣のようでもありました。



ことが終わり、落ち着きを取り戻した時、友美さんは口を開きました。

「ありがとう、、、」

友美さんはそう言いました。


私も、「ありがとう、」と、
自然に口から感謝の言葉が出ました。

(友美さん、君のことはずっと大切にする、)

私は心の中でそう約束しました。



その夜から私は友美さんに対して、
愛しく思うことに加え、さらに、
彼女を大切に、守っていく義務のような感情、が芽生えました。

これは、親が子を思うような感情に近いものです。


結婚にあたっての私の決意はこうして固いものになった、

今にして思えばそのように思えるのです。



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この物語はフィクションです。

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