J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2002年12月13日(金)    今晩時間とれたら、どう?、

J (1.新入社員)

4.花火の夜 (4)


バレンタインデーに義理チョコをくれた友美さん。
それにはこんなメッセージが添えられていました。

『いつ飲みに連れていってくれるんですか?』

私はこれを読んで、
(ああ、軽率なこと言っちゃったな、)と思いました。

何故ならその当時私には付き合っていた彼女がいましたし、
もともとそんなつもりもなかったからです。


しかし、一度口から出た言葉です、
言いっぱなしはいけないな、と思い、さっそく友美さんを誘うことにしました。


私は総務部に行き、事務所の真中で友美さんに声をかけました。

別にやましい事はありません。
堂々としたもんです。

「よ、友美さん、この間の件だけど、さ、
 今晩時間とれたら、どう?、」
「え?、いいんですか?、」
「うん、君さえよければ。ネ。」

それを聞きつけた総務課長が言いました。

「工藤君、なんだね、この間の件、とは?、」
「課長、聞くのはヤボってもんですよ、デートです、デート!、」
「ほう、デートねぇ、」
「なんてウソですよ、ハハハ、すみません、
 いや、成人式のお祝いにちょっといい所を教えてあげるって、
 この間の先月のパーティの時に約束していましてね、
 それで、ネ、友美さん、」
「はい、」

友美さんはニコニコして返事をしました。

「というわけで、課長、今晩友美さんを借りますので、
 残業はナシ、ってことでたのんます。」
「ああ、わかったよ、でも、ちょっかいだすなよ〜、
 営業の連中は手癖が悪いからな、」
「なんの、大丈夫っすよ、親が子供を連れて行くようなもんすから、」

私は総務課長にそういってから、
友美さんに向かって言いました。

「じゃさ、今晩7時に、」

「はい、宜しくお願いいたします、」

友美さんはとっても嬉しそうにして頭を下げました。


そもそもこれが既成事実が積み重なる最初のことでした。



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