J (1.新入社員)
4. 花火の夜 (5)
私は友美さんを飲みに誘いました。 ただそれは義理をはたす為だったのです。
その最初のデート?は当然何もなく、 (ですが楽しいひとときではありましたが、) 次に会う約束もせずに別れました。
ところが世の中にはホワイト・デーなる行事があります。
私はまた義理を果たすためにキャンディーを買い、 友美さんにプレゼントをしました。
そしてそれでおしまい、ってことで、と私は考えていました。
しかしながら、人の目はそうは取ってはいませんでした。
営業の工藤と総務の友美さんは、できてるらしい、という、 妙なうわさがもっともらしく語られていたのです。
果ては、 工藤は悪いやつだ、友美さんをほったらかしにして、とか、 工藤は二股かけて友美さんを泣かせたらしい、とか、 思わぬ事態が私を取り巻きだしたのです。
あ〜あ、オレはどうでもいいが、この事態は友美さんがかわいそうだ、 私はそう思って、再び彼女と話すべく飲みに誘ったのです。
果たして彼女も悩んでいました。
しかしそれは違う意味で悩んでいたのです。
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