J (1.新入社員)
4.花火の夜 (2)
私はレイのほうをチラッとでも見たことに後悔をしました。
見なければよかった、、、 目が合ってしまうなんて思いもよらなかったのに、、、
そして、何でオレは目をそらしたんだ、!、
その時私がとった奇妙な行動に、私は私自身を嫌悪しました。
その時、私は友美さんから身をずらし、少し離れたのです。
肩を並べているところを、レイに見られたくないかのように、、、
「きれいね〜、、、純一さん、」
友美さんの声に私は我に帰りました。
「ああ、キレイだ、、、すっげぇな〜、」 私はことさら素っ頓狂な声で言いました。
自分の後ろめたさを隠すかのように。
「純一さん、去年の隅田川の花火、覚えている?、」
「覚えているよ、もちろん、」
「そう、よかった♪、」 友美さんは嬉しそうに言いました。
去年のある日の花火の夜、 私たちは初めて結ばれたのでした。
私はその一ヶ月前にプロポーズをしていました。
しかしそれまでのお付き合いの中で、 友美さんは頑なにそのことを拒んでいました。
私も友美さんのことは別格な対象でしたので、 特別にそのことを強く要求してはいませんでした。
その晩は、そうなるべくして、そのようになった、 そうなるしかなかった、そういう夜だったのです。
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