J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2002年12月10日(火)    4.花火の夜

J (1.新入社員)

4.花火の夜 (1)


私は、A部長とB課長と一緒に飲んでいました。
レイは、新入社員がかたまった輪の中にいました。
友美さんは、A部長、B課長のご家族と一緒のテーブルでした。


雨上がりの夜空には満天の星が輝いています。

私とレイが夕暮れ時に気がついた水平線のの青い空は、
いつのまにか雲を追いやり空一面を征服していたのです。


その夜空に、どーん、と一際大きな花火。

視界いっぱいに広がる火の粉の演舞。


「これは、、、」、(凄い、、、!)

私はなんだかとっても嬉しくなりました。
とっても楽しい気分になりました。

何故ならその夜空は、
私とレイだけが知っている明日の空に違いなかったからです。



私はレイのほうを見やりました。

レイは、、、
夜空を仰いでじっと花火を見ているようでした。


私は友美さんを見ました。

友美さんは、、、
私の視線に直ぐ気づき微笑みを返してくれました。

嬉しくなって私は友美さんにウインクを送りました。


また花火が、どーん、と上がり、周囲が歓声に包まれました。


花火を見上げながら、ふと、私は思いました。



オレは何故レイを最初に見たんだろう?
オレはレイに特別な感情を持ち始めているんだろうか?

すぐさま私はその疑問を打ち消しました。

そんなことはあろう筈がない、
オレはもうすぐ友美さんと結婚するのだ、

そんなことは決してありえないことだ、、、



矢も溜まらず、
席を立って私は友美さんのところへ行きました。

「一緒に見よう、トモミさん、」

「うん、」

私と友美さんは肩を並べて夜空を仰ぎました。
私は私の気持ちを確かめるために。


そうしながらも、

私は、、、
私は、横目でちらりと、レイを見てみました。

花火が、また、どーん、と上がりました。


歓声の声が上がる中、

私とレイは、一瞬目が合って、、、


そして、お互いに目をそらしました。



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この物語はフィクションです。

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