J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2002年11月22日(金)    みんな彼氏がいるんだってさ

J (1.新入社員)

2.夏季研修 (5)


宿舎は会社の保養所でした。

保養所、といっても大きな会社と違い、
夏の間だけ民宿を契約して借りている施設でした。


昼前に一行は宿舎に入り、男女別に部屋を割り振りました。
妻帯者も厳格に男女別に分かれて部屋を取ります。
小さい子供はお母さんと一緒、大きい子供は男女に分かれました。

当然私と婚約者の友美さんも離れ離れになりました。
寂しいですがこればかりは会社の行事です。
仕方ありません。

友美さんとレイは同じ部屋になりました。

私は一応引率者なので、
同じ引率者のA部長とB課長と一緒の部屋になりました。


部屋で荷物を広げ、少しゆっくりしてから昼食の後、
さっそく海に泳ぎに行きます。


友美さんはレイとその間に随分仲が良くなったようで、
再び私の前に現れたときには親しげに話をしていました。

もっともレイばかりでなく、他の新入社員の女の子たちもみな、
友美さんと親しくなってはいましたが。


昼食の時、私は友美さんに聞きました。

「何を話していたんだい?、
 なんだかみんなしてオレのことを見ているけれど。」
「みんなね、どうして純一さんと私が結婚するようになったのか、
 とっても興味があるみたいよ、
 いつから付き合ったんですか?、とか、
 プロポーズの言葉はなんですか?、とか、
 いろいろ聞いてくるの、女の子ってそういうものなのよ、」
「あいたっ、で、トモミさん、話しちゃったの?、」
「ちょっとだけね、フフッ、困っちゃう?、純一さん、」

私は、まいったなぁ、と思いましたが、
じゃぁ、何がいけない、ってこともないので、

「いや、別に困らないよ、でもさ、う〜ん、
 噂の餌食になるだけだから、テキトーにあしらっておいてね、」

とだけ牽制をしておきました。

友美さんは敬礼するような仕草をして答えました。

「はい、心得ました、注意します、工藤係長殿。」
そして少し間を置いて、
「、、、あとね、みんな彼氏がいるんだってさ、コレはナイショよ。」

友美さんはそう言って、目配せをし、
水着に着替えるために私から離れて部屋に戻りました。


みんな、っていうことは、レイも彼がいるんだ、、、

私の知らないレイがそこにいたのです。



  < Pre  Index  New >    


INDEX+ +BBS+ +HOME+ 
この物語はフィクションです。

My追加

+他の作品へのリンク+・『方法的懐疑』(雑文) ・『青空へ続く道』(創作詩的文章)