J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2002年11月21日(木)    君の方がずっとかわいい

J (1.新入社員)

2.夏季研修 (4)


バスは人数の割に大きかったので、
車内では各自思い思いに座りました。


私は婚約者の友美さんと並んで座り、
レイは仲の良い同期入社の女の子と並んで座りました。


友美さんは私に、
「ね、純一さん、レイちゃんてかわいい感じの子ね、」
と相槌を求めるような言い方で話しかけました。

私は、
「そうだね、まぁ、まだ高校生に毛が生えたようなもんだもの、
 かわいいって言えばかわいいかぁ、
 もう少し大人になってもらわないと仕事上困るんだけどね、」
と話しました。

「あと半年もすればそうなるわよ、たぶん、
 あの子はああ見えて芯が強そう、私には分るわ、」
「ふ〜ん、ならいいんだけどね、」

私は窓の外を見ながら言いました。
友美さんは話を続けました。

「レイちゃん、大人びてくるときれいになるんでしょうね、
 うらやましいな、ああいう顔立ちの子って、」

「何言っているんだい、トモミさん、
 君の方がずっとかわいいし、とってもステキさ、
 、、、オレにとっては君が一番なんだから、ね。」


友美さんはきれいというより、かわいいという顔立ちの人でした。
愛くるしい笑顔がとっても印象的な明るい感じの人でした。


私は友美さんを愛していました。
もちろん、今も愛しています。

愛しいと思う心、そうした愛情によって。

 
レイについてはと言えば、その当時はまだ、
私はそういう目でレイを見たことはありませんでした。
部下として思う親愛の情しかありませんでした。

3年後、その親愛の情が恋愛の情に変わるなんて、
その当時は、思いも寄らぬことでした。



バスは海岸線の道を、
水平線にそって東に向かって走りました。



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