J (1.新入社員)
1.面接 (2)
水曜日はすぐにやってきました。 応接室に入ると、部長、人事課長を前に、 神妙な顔をして話を聞いているレイがいました。
部長は私を手招きしながら、 「あ、きたきた、樋口さん、彼が工藤君、 先ほど話した我が社の中堅社員だよ。 工藤君、樋口レイさん、だ。」 「工藤です、よろしく、」 私は頭をぺこりと下げ、椅子に腰掛けました。
レイは、小さな声で、 「よろしくお願いします。」 とばかり言って、うつむき加減。 下を向いてじっとしています。
(ダメだな、この子は、) 私は心の中でそう判断しました。 もっと元気がなくっちゃ。 もっと自己主張しなくっちゃ。 これじゃ、オレのスタッフとしては勤まらないよ。
「で、部長、私はどうすればいいんですか?」 「面接はもう済んだので、簡単に仕事の内容を説明してくれたまえ。」 「分りました。」
部長はレイに向かって、 「じゃ、樋口さん、あとは工藤君から仕事の内容を聞いて、 不明な点はしっかりと質問して、それで今日はおしまい。 もう帰っていいですからね。 、、、と、いうことでいいのかな、人事課長。」 「はい、それで結構です、部長。 樋口さん、学校の先生には僕の方から連絡しておきます。心配なく。 採否については2週間以内に学校に通知いたします。 よろしいですね。」 レイは顔を上げて、「ハイ、」とだけいいました。
部長と人事課長は席を立って、 「あとは頼んだよ」と応接室を出て行きました。
私とレイ、ふたりだけがそこに残りました。
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