J プロローグ
2.彼女、レイ、について (2)
彼女、レイ、は、結婚後、 ふたりのこどもを生んだようです。 私はそれを風の便りに聞きました。
母として、妻として、生きていると。
私とのことは、遠い昔の出来事のように、 既に忘れてしまっているかのように、 日々の生活をしているかのようでした。
私も、同じように、レイのことは、 遠い思い出の果てのこととして、 心の奥底にしまっておりました。
ある日の朝、 私は今の仕事の営業先を出て、 とある住宅街を歩いていました。
そこはアパートと一戸建てと商店が、 無造作に立ち並ぶ古くからの住宅街でした。
私はなんとはなしにぶらぶらと、 当てもなくうろついているうちに、 乳製品を宅配している女性を見かけました。
私は思わず、 「あ、」 っと、声をあげました。
そして、とっさに電柱の陰に隠れたのです。
それは、まさしく彼女、レイ、だったからです。
xxxxx
この日記は全てはフィクションであり、 実在する人物をモデルにして書くものではありません。
xxxxx
|