このごろ日記が納涼モードのような気がするけど、夏だから特集ってことで(笑)。
前回書いた対談で、宮部氏が 「謎があって、その謎が解けないうちは怖い」 と言ってましたが、ほんとに何でも正体がわからないうちがいちばん怖いよね。 SFとかミステリ、サスペンス系のお話は(映画でも小説でも) 主人公の置かれている状況とか敵の正体が見えない状態で話が進んでいる間が いちばん怖い。 「ちらりと垣間見た」「ゆきずりの」そんな怖さがある意味怖さの王道なのかなあ。
幼稚園くらいのときに垣間見た怖い画像といえば、 商店街の細い小路に貼ってある成人映画のポスターが怖かった。 (肌色が多いだけでも、なんか「肉」とか「暴力」を感じさせて怖いじゃない?) パーマ屋さんで見た女性週刊誌のエロチックなグラビアも怖かった。 (当時の流行りだったか、妙にアートな演出が凝らされていてほとんどホラー系だった) 今の子供たちが刺激的な画像や情報の真っ只中にいることについて言えば、 辛いもの食べ過ぎて味覚が壊れるみたいに、 エロチックなものや怖いものに対して「味音痴」になることが心配。 だって怖いものとか刺激的なものって、食べ物のスパイスに似てませんか。
私が子供時代に親と見た映像で、サスペンス映画らしくて怖かったものがあるんだけど、 あとで親に聞いたのに「心当たりがない」って言われたのね。 両親は洋画よく見てたけど「子供を連れてあまり怖いのを観にいったはずはない」って。 でもテレビじゃなくて映画館だったよ! だってカラーだったもの! (私の実家は、記録的なまでに遅くまで、白黒テレビを使用していたのだ) 頭に焼き付いてる映像はこの2つ: ・「旧式のエレベーター(鉄格子が付いた素通しのやつ)の中で血を流して死にかけてる男」 ・「洋風のバスタブの中で死んでいるトレンチコートの刑事ふうの男」 血の色が忘れられないから、絶対カラーだったのよ!(断言) 旧式のエレベーターはすごく格好よくて、 サスペンスフルで美しい怖さがあると思うんだけど(それ自体が凶器のように見えた) 若い人はどのくらい知ってるのかなあ…東京なら 日本橋の高島屋がかなり後年まで使ってたはずだけど。 ・・・ で、大人になってだいぶ経ってから、ふとテレビの名画劇場でそれを見つけた…。 「シャレード」。オードリー・ヘプバーン主演のサスペンス映画です。テーマ曲が有名でした。 かなりポピュラーな作品だったのに、ちゃんと見たことはないからわからなかったのね。 ああ、長年の疑問が解けてすっきりした。 でも、もう怖くなくなっちゃった。ちょっと勿体ない?
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