日々の泡

2000年12月30日(土) 砂漠に打ち寄せる波

BS2で再放送していた、サンテグジュペリゆかりの土地を飛ぶ空撮紀行を
漠然と見て、しばらくボーッとする。
いや、空撮には弱いよのね。
映画でも何でも、空撮出てきたらとりあえずそっちに反応する。
鳥の眼または虫の眼のカメラが好きである。子供っぽい。わかりやすい。

加えてスペイン満載だし。スペインにはまたミーハーだし。
フランスの典雅な田園風景や城砦都市を鑑賞したあとで、
ピレネーを越えると、とたんに緑の少ない無骨な自然が広がる。
(んもう、スペインったら…)と意味も無く愛しくなる。馬鹿である。

スペインをさんざん堪能したあと、ジブラルタルを渡ってモロッコである。
旅の終わり、キャップ・ジュビー。砂漠の中の飛行場の廃屋、そのすぐ近くに海。
赤い砂漠に、打ち寄せる碧い波。たまらなく好きな景色。
以前「世界わが心の旅」の宮崎駿の回でも、サンテグジュペリを追っかけて
この飛行場を空撮していて、それが目に焼き付いていたのだ。

しかし「星の王子さまと飛ぶ空中大紀行」というタイトルはどうなんだろうか。
『星の王子さま』の知名度とそのイメージは、サンテグジュペリの他の作品を
却ってとっつきにくいものにしていないのだろうか。
正直いって私は、子供のころにあの本を読んだために、
他の作品を見出すのが遅れたような気がしている。
須賀敦子ほかの読み巧者の引用によって、今さらのように彼の言葉の明晰さ、
核心にふれてくる知性の鋭さを実感させられた私だった。

なんか硬くなったけど、コラムにまとめられない話なので日記ネタ。


 < 往  一覧  来 >


蟻塔

My追加