日々の泡

2000年12月29日(金) こどものときかんがえた親という哀愁・3

昨夜は繊月、今夜は三日月。
低くなった月はオレンジ色に染まるので、夜空がニヤリと笑っているようです。
その上に金星。
−−

その3は昔話。どこの民話にもよくある、美しい娘と意地悪な継母の話。
これは日本の話で、メインの冒険…というか大筋は忘れてしまったのだけどね。

継母に冷遇されてるヒロインはもちろん美人で、たぶん頭も良くてしっかり者で健康。
継母には実の娘がいて、これはもちろん不器量で、たぶん頭も悪くて病弱で、
やられる為にだけ出てきたようなキャラ。
だけど母親にとってはこの娘が可愛くて仕方ないし、
出来のいい継娘が憎らしくてしょうがない。
もちろんシンデレラよろしくヒロインは殿様に見初められて玉の輿に乗るんだけど、
その舞踏会の準備に相当する場面で、二人の娘が身支度をするんだよね。

髪油も分けてもらえない継娘は、しかたなく水だけで髪を梳くんだけど、
長くて真直ぐな黒髪なので「ずるずる」と音がする。
それを聞いた継母は、「蛇が這うような音で気味が悪い」となじる。
継母の娘は、ちゃんと髪油をつけるんだけど、癖毛で縮れ毛なので
(日本の昔話でこれは不美人の十分条件)「ぴんぱらぴんぱら」と跳ねる音がする。
すると継母は、「琴の音のようで美しい」とか何とか褒めるんだよね。

私はここのところを読んだとき、鼻の奥がつーーんとして涙が出てきてしまったのよ。
だって継母の気持ちが哀れでね…
勝負はついてるってことは、もう彼女にもわかってるんだよ。
だけど意地でも自分の娘は可愛いから褒めたい。ライバルはけなしたい。
そうやって意地を通して、ヒロインが幸せになるラストで
お約束通り、この母娘は凄惨な死に方をするんだったと思う。
「やられるだけ」キャラの娘は、なんの自己主張をすることもなく。
まあ、普通だったら民話のお約束の残酷さに涙するはずはないんだけど、
この継母の心情がすごく生々しくリアルに生きてる人のように感じてね。
たぶん高校生くらいだった私は泣けました。

歳末というのにうっとうしい話が続いたなあ。以上。


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蟻塔

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