親しらずと、育たずに残ってしまっていた乳歯を抜く。麻酔をしたら気持ち悪くなって、「これくらいで弱っててどうするのー」とお医者さんに笑われる。麻酔の注射だけで終わった気になって、「もう抜いたんですよね?」と聞いたら、「これからよ〜。そんなに簡単じゃないの」と再び笑い。じんましんの麻酔のときも、花粉症の注射を打ったときもそうだった。顔から血の気が引いていくのがわかる。人ができていることで、自分が極端にできないことが、ときおりある。
英会話スクールの無料カウンセリングに行く。プライベートレッスンだと、半年で30万円強。貯金が大幅に減少。これを高いとみるか、自分への投資とみるか。でも、絶対に話せるようになりたいのだ。
夜、彼と近所の公園でキャッチボール。ただボールを投げるだけだと甘く見ていたら、奥が深かった。特に受ける時。グローブの扱いが難しい。頭で考えていることに体がついていかない。スポーツのもどかしさを久しぶりに感じた。それでも5球に1度くらい、思った通りにグローブが出せてバシッと球を受けられることがあり、「ああ、そうだった。この繰り返しでうまくなるんだ」と少しずつ感覚を思い出す。「自分の体は自分の思い通りにならない」。あたり前のことを、忘れてはいけない。
須賀の全集(次々に刊行されるので追いつかない)と、もう1〜2冊を併読する。これが最近の読書スタイルになった。綿谷りさ『夢を与える』、ナタリア・ギンズブルグ『ある家族の会話』。前者は読了した。面白かったが、自分を変える作品ではない。同世代作家の小説はしばらくいいかな、と思った。自分の細胞がどくどくどくっと変わったり、世界がぱーっと広がる作品を読みたい気分であるから。
夕暮れ時、お寺を通って帰る。黄色いろうばいと紅梅、白梅がそれぞれこぢんまりと咲いていた。境内へ続く道の両側には、桜の木。幹と枝の先がピンクに見えた。気のせいだろうか。初潮を待つ思春期の女の子が頭に浮かぶ。
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