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2006年09月05日(火) デカ足とrepetto

私は私なりに自分がデカい女であること(169センチ)、いかり肩であること、顔がかくかく骨張って大きく、目鼻立ちがフェミニンでないことなどの一連の不幸と思春期からずっと戦ってきたので、それなりに自分の体とは折り合いを付けて生きているつもりだ。24歳の今になって「大きいのってコンプレックスなんです〜」なんてぶりっとしたことを言うつもりはないし、21歳のとき、「デカフェチ」というスバラシイ男性たちがいることも知った。(「バナちゃんデカいから合コンきてよ。kくんのオーダーなの」という依頼を受けたのだ。後から分かったことだが、あこがれの松尾スズキさんもデカフェチなんだって。)

しかし。我慢できないことがひとつある。

デカ足問題である。

私が買う靴のサイズは(きわめて25センチに近い)24.5だ。正直、自分がそれほど「デカ足」であると思ったことはない。体に比例しているためアンバランスではないし、別のそれを恥ずかしいと思ったこともない。高校生の頃にはいていたハルタのローファーには、ちゃんと25.0EEE(注:Eは足の甲の幅を示す。通常サイズはE)があったから、何の問題もなかった。足下がしっかりしているなんて、泰然としていてよいではないか。

……そう、思っていた。

ところが昨年、実にかなしい事件が私を襲った。私の乙女心を盗んだ靴、repettoとの別れである。

repettoといえば、あのゲンズブールもはいていたという究極の乙女靴。黒い革製の一足を買った次の日から、うれしくてうれしくてプリーツスカートに素足で会社に行った。「カレーさん、なんか今日少女ですね(ぷぷっ)」―職場での乙女ハラにも、アメリは負けなかった。アメリは思った。「みんな、あたしのこと分かってないわ。これだかtokyoは困るのよ。parisだったら、誰だってこのエスプリに気付いてくれるのに!」アメリはスカートのひだを風に揺らしながら、モンマルトルの丘(牛込中央通りともいう)を走ってパンを買いに行った。

坂の途中、「ズズズズズ、ビリッ」という鈍い音がアメリの耳に届いた。「何かしら」足下に目をやると、かわいいかわいいrepettoちゃんから、足の指が突き抜けている。一瞬、理解に苦しんだアメリは、得意のファンタジーで世界を埋めようとした。あら、アリスの穴だわ、ここから中に入ったら、きっとトランプ王国の世界が広がってるのね。意地悪ババアには負けないわよ。だってあたし……repettoをはいているんだもの!

……ビリビリビリビリ。

現実に戻るアメリ。てか俺(あ、ゲンズブールの恋人だったらアメリじゃなくてブリジット・バルドーにしなきゃいけなかったのか)。急に坂を駆け上がったことで、窮屈に押し込められた足の圧力に、やわらかなやぎ革は耐えきれなかったらしい。アメリのかわいいrepettoは、購入からわずか3カ月でその短い生涯を閉じたのである。

一度は落胆した私だが、ドレステリアの店員さんの言葉を思い出して復活する。「repettoはもともと練習用のシューズですから。好きなだけはいてどんどん履きつぶしてあげてくださいね。私も今、3足目なんですよ」。そ、そうか! 履きつぶした私は2足目を買えってことね! しかし、2万円をはたいて得た幸福は長く続かなかった。2足目はスエードのかわいいピンク。これがすぐに薄汚れたグレーに変わり、ほどなくつま先に(1足めと全く同じ場所に)穴が開いた。

失恋(破損)を繰り返して分かったのは、つまり、repettoの「39」サイズ(24.0-24.5)が私の足には小さすぎるということ。きゅうきゅうに靴の中に足を入れるあまり、シンデレラのお姉さん状態、さらに言うなら中国の「纏足(てんそく)」状態になってしまっているのだ。

ところが、どのセレクトショップやデパートに行っても、39よりも大きいサイズは売っていない(ドレステリアで「40はもともと生産していない」なんて悲しい話もきいた)。

つらい現実だった。デカ足女は、乙女になれない。ゲンズブールにそういわれた気がした。私の乙女人生は、たった数ヶ月で幕を降ろした。



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でね、でね、けっきょく何が書きたかったかというとね、今日仕事で南大沢に行ったの。そしたらアウトレットがあって、開き時間に何となくのぞいたわけ。

そしたらね、なんと!!!!

あるお店の中にrepettoの赤い箱が山積みになってるのよ!!!! で、全部半額なのよっ!!! 久しぶりにお買い物熱に火がついてね、店員さんに「もともと39までしか生産してないんですよね……」って諦め9割で聞いたのよ。 

そしたらね、「あーありますよ」って、最も競争率の高い黒の「40」を出してきてくれたのよ!!! すごい!!! これなら今までのようにきゅうくつに足先を丸めて歩く必要もないわ。う〜れ〜し〜。これからも40を求めて、南大沢に通おうと思います。電車賃1000円しても、半額ならモトがとれるってもんだわ。

ついでにそのお店、マッキントッシュのトレンチも半額で5万くらいだった。すーごーいー。みーなーみーおーおーさーわー。おーやーすーみー。







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