鳥居に向かって、細い坂がのびる。両脇には土産物屋と食堂。おばさんが忙しくたちまわる食堂のテレビが、甲子園の決勝を映す。わざわざ電車に乗って海のそばまで来て、テレビを見るために1時間ほど居座った。たのんだカツカレーは学食の味がした。
ハアハア言いながら階段を上りきると、神社の鳥居が姿を現す。木のあいだからもれてくる太陽の光。木々がつくる陰。まだ見えていないのに、海の気配が迫ってきた。
疲れて入ったかき氷屋から、無料で海の大パノラマを望む。となりの席では日本人女性と白人男性が、おさしみを頼んで食べていた。瓶ビールと、まぐろ。足下に飛んできた蝉に驚いて、女性が声をあげる。蝉は、海に堕ちていった。
|