「さよなら・・・」 「コレットーーー!」
感動的なシーンでしたが、さすがに、飽きました。 迫真の演技を続けるロイドを前にして、そんなことは言えない後ろの3人。
ロイド一行、救いの搭に乗り込むこと実に4度。 そう、4度目の同イベントなのです。 とは言え、仕方が無いのです。 ロイド一行はクラトスに敗れて以来、ハイマ山麓に沈む夕日に雪辱を誓い、 彼を倒すべく如何な方法を模索しつつ(※レベル上げ)、幾時間。 3度目の正直ならぬ、4度目の正直と相成ったのです。
「くくく・・・これで私は、四大天使の空位に納まるのだ!」
当然、レミエルのセリフも4度目です。
「あのさぁ、早くクラトスと戦いたいんだけど」 「・・・・・」
だいぶおざなりにされているボスですが、イベントを飛ばすなんて事は、 神(製作者)か悪魔(違法機械)にしか出来ないことでしょう。
「もはや貴様らに用は無い!」
途端に威圧的な口調になるレミエルに、ロイド一行も負けじと言い返します。
「こっちも、中ボスには用は無いんだよ!」
実に屈辱的な中ボス発言の後、ロイドたちは武器を手にしました。 打倒クラトスを合言葉に、血の滲むような修練を重ねた一行にとって、 もはやVSレミエルは前哨戦、否、彼らの視界にはザコとしか映りません。
「みんな、TP節約しろよ! ユニゾン・アタックも温存するからな!」 「貴様ら・・・せめてボスとして扱え、ボスとして!」
それは、プレイヤー・ロイドにとって、通常レベル上げ仕様のザコ相手にすら劣る作戦でした。 これに業を煮やしたか、「私に近づくな!」攻撃を連発するレミエルに、 前線キャラとなっているしいなが、不意をつかれて戦闘不能になってしまいました。
「あーッ! ライフボトル節約してんのに・・・何てことするんだ、この中ボスめ!」 「中ボス!?」
そんな低レベルなやり取りがあったかは定かではありませんが、 ロイドたちが、まずレミエルに本腰でかかっていないのは、一目瞭然でした。 あくまで前哨戦だったのです。 温存するとぬかしていたはずのライフボトルをぽんぽん投げまくり、倒れては復活するロイド(と、しいな)。 それでも、作戦は『節約しろ』のままなのでした。 ジーニアスの覚えたてアドプレッシャーに繋ぐMAX29Hitが、勝負を決めます。
「ば・・・バカな・・・!」
結局、『節約しろ』作戦でレミエルに勝ち越すロイド一行。 しかし、そこに勝利の余韻はありません。 次こそが本戦なのですから。
「クラトス! 今度こそお前を倒す!」
しいな特製☆7魚鍋を囲む一行の背後に、今か今かと出番を待つクラトスがいるのです。
「ふ・・・お前に私が倒せ」 「ユニゾン・アタック、GO!」
開始直後のユニゾン・アタックが、サンダーブレード詠唱中のクラトスを捉えます。 最近になって、ようやくU・アタック(複合付き)が出せるようになったというのはヒミツです。
一連の戦闘アクションが終了、ある意味、ここからが真の戦いとなるのでしょう。 クラトスが剣を振り上げて、ロイドに今まさに襲い掛かろうとした、そのときです。
「閃空烈・・・」 「裂空斬!」
くるりんぱ。 クラトスの頭の上を回転しながら飛び過ぎるロイド。
「グレイブ・・・」 「裂空斬!!」
くるりんぱ。 グレイブの岩山を跳び箱のように跳び越えるロイド。 勝ってくるぞと勇ましく接近しては、危なくなったらすたこら逃げるロイド。(FEのテーマより)
「裂空ー斬!!」 「おい、ちょっと待て! 何だその戦法は!?」 「れっくーざーん!!!」
追いすがるクラトス、詠唱中のクラトス、クラトスの魔法の効果範囲、 ありとあらゆる攻撃を、裂空斬のみで封じ逃げるロイド(プレイヤー)。
これぞ、対クラトス戦のためにアクション苦手プレイヤーが編み出した最終戦法、 その名も『回転ドライブまたきてアタック』! さながらバカの一つ覚えのごとく『裂空斬』を連発するのです。
とにかく、閃空烈破から逃げ回ることで手一杯なロイド(プレイヤー)の代わりに、 しいな、ジーニアスが地味に、しかし着実にHPを削っていきます。 アクション操作を誤ったロイドや、接近するしいなにグレイブが決まる度、 戦闘不能に陥りつつも、ライフボトルを惜しみなく投げ与えると、 リフィル先生のナースが都合よく発動、味方を回復してくれるというギリギリの輪廻です。
「契約者の名において命ず・・・出でよ!」
そのうちオーバードライブした、しいなの召喚(シルフ)も勝手に成功。 上手い具合に、3連撃がクラトスに命中します。 残りHP2500、ここはお気に入りの虎牙破斬コンボでとどめを・・・!
「はッ!? 技が出ない、何故だ!?」 「・・・ロイド、頭にTPXXって出てるよ」 「えーこんなときにTP切れ!?」
しかし、油断すると即死しかねない状況下、形振り構っていられません。 ガード最中にも関わらず、クラトスをここぞとばかりにタコ殴り。 さすがにテクニカルスマッシュとは行きませんでしたが、 ―――それでも、ついにクラトスは膝を付いたのです。
「何故だクラトス・・・お前の強さは、こんなものじゃないはずだ!」 「ぐッ・・・」
過去3度の戦闘後とは、逆位置に立っているロイドとクラトス。 これを拝むためだけに粘ったのでしょうアクション苦手プレイヤーの、ど根性と執念の勝利でした。
「R3ボタンの場所すら分からなかったお前が、U・アタック(複合)を使うとは・・・強くなったな、ロイド」 「この日のためにパラライチェックも4人分、用意した!」
12000Gの出費でした。
「とどめだ!」
放った決めセリフの瞬間。 割って入ってくる、真の強敵の登場でした。
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「まぁ・・・ユグドラシルに勝とうって気は起こらないね」
シルヴァラント・ベースで目を覚ましたロイドに、しいなが肩をすくめます。
ユグドラシルとの戦闘に突入したのは、実は2度目ではあったのですが、 初戦では何やら良く分からないままに倒れてしまったので、虫眼鏡も使えませんでした。 2度目となる今回、せっかくなのでスペクタクルズを使ってみたのです。 HPだけならともかく、問題はジャッジメント。この時点で1000を超えるダメージを一撃で与えられては・・・お手上げです。 そこまでやりこむプレイヤーでは無いロイド。 イベントボスと割り切って、あっさりと倒されたのでした。
「まーラスボスっぽいし・・・いつかリベンジ出来るだろ?」 「いい加減、本筋のストーリーも進めましょうね」
溜め息吐いた先生の、正論でした。
「そんなこと言うと・・・またレベル上げ、しばらくしなさそうだよね」
ジーニアスの予言は、この後ずばり的中します。嵐と竜巻の如くストーリーを進めるのです。 レベル上げのために実に数時間費やしたハイマ周辺に、ついに別れを告げたのですから。
「で、EXジェムLV3、誰が装備する?」
クラトスの戦利品を惜しみなく活用する、ロイド一行の姿が、そこにありました。
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