どれくらいの間、僕の帰りを待っていたのだろうか。 彼女は「そんなに待ってないよ。」と言ったけど 体が冷え切っているのは明らかだった。 鼻と頬が少し赤らんでいたから。 僕はとにかく彼女を家に入れて、急いで暖房を入れた。 「じゃぁ私はコーヒーでも入れるね。」 コートを脱ごうとする彼女を制して 「いいから。俺がやるから。部屋が暖まるまでそこにいろ。」 とソファーに座らせた。
湯が沸くまでの時間、やはり彼女は寒そうにしていた。 ほんとに何時間、外で待っていたんだ? 彼女は手に息を吐き掛けながら笑うだけだった。 僕は彼女の横に腰掛けて 「どら。」と手を握った。 努めてぶっきらぼうに、平静を装った覚えがある。 本当は心の中では、ただ事じゃなかったんだけど それを悟られないように、ちょっと乱暴に手に触れた。
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