short story


2001年02月01日(木)


11-危うさ-
どんなに穏やかな時間を過ごしていても
日が変わる前には
彼女は帰る支度を始める。
彼女と知り合ったのは、夏の終わりくらいだったから
すでに3ヶ月が経っていたけれど
彼女はそれまで一度も僕の部屋に泊まったことはなかった。
ただの一度も。

僕は次第に、感情を無視することを覚えた。
泊まっていけば。とは言わなかった。
だって。
なぜなら彼女は、
僕の恋人ではなかったからだ。

この距離感は、ひどく曖昧で。
すぐになくなってしまいそうな危ういものだと、僕は知っていた。
知っていたけれど、それに気付かないふりをしていたのかもしれない。
気付かずにいられたらと、思っていたのかもしれない。

じゃぁな。とだけ言って、彼女を送り出した。

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日記才人