なにも予定がなければ、 目が覚めると、大体どこかに連れ出される。 住んでいた街が海沿いの街だったから 天気の良い日はよく海にでかけた。 彼女は防波堤の上で日向ぼっこをするのが好みだった。 陽が当たって暖かくなったテトラポットに腰掛け、 沖の方を眺めたりしてしていた。 結局見せてはくれなかったけど 時折、詩なども書いていたようだ。 一体、どんな詩を書いていたのだろう?
僕はどちらかというとじっとしていられない質だったので 海に向かって石を投げたり、砂浜で砂をいじったり、 波打ち際に、拾ってきた木の枝を刺して、波にさらわれる様を観察したり。 でも結局やることがなくなって、彼女の横で昼寝したり。 さすがに陽が暮れるまでいた時は、そろそろ帰ろうと言ったが 大抵は小一時間ほどなので、 彼女の気の済むまで付き合うことにしていた。
|