03-密かな楽しみ-
僕は彼女が来てからも、大体、昼くらいまで寝ていた。 ドアを開けて、またベッドに直行だ。 そして彼女は、主が寝ている部屋でなにをするかと思えば まるで我が家にでもいるかのように 持参してきた袋菓子をテーブルに広げて ファッション雑誌かなんかをペラペラめくったり テレビのワイドショーを見たり、 窓の外をチラチラ見ながらコーヒーを飲んだりするくらいだった。 彼女は気付いていたかどうか知らないが 寝返りうち際に、時々そういった彼女の仕種を隠れ見るのが好きだった。
目を閉じて音や気配だけで探ると色々なことが分かる。 彼女のテンポとか、癖とか。 コーヒーを飲んだ後には必ず大きく息を吐いたし、 テレビでの面白い話をCM中に思い出して、くすっと笑ったりしていた。 時々だけど、僕の寝顔も覗き込んでいたようだ。 彼女の髪の毛が頬に触れた時は、 起きているのがバレているんじゃないかと思ったけど やがて何事もなく窓の方へと行ったようだった。 どうやらバレていないようだ。 そうやってそのまま、また眠りにつくのが好きだった。
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