+女 MEIKI 息+
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朝起きると、男になっていた。 ではなく、声が出なかった。 カラオケ朝までコースで遊び倒しても掠れることの無いこの自慢のダミ声なのに、何の不摂生もしてないのに、だった。 その数週間前には、話す相手によって言葉が詰まることがあった。なんだ?どうしたんだ?緊張してるわけでもないのに、壇上でのスピーチだって平気なのに、一体何がおきているんだろう?で、やり過ごしていた。 全く声が出ないのは、さすがに焦った。 おいおい、仕事はどうするんだよ、この状況じゃ無理だろう。電話連絡もままならない状態で、マズは社内連絡用のチャット&メールにて状況を説明した。 運良くその日は、ボロ内臓の定期健診の日。それを理由にサボった。 そして、病院ではいやがおうにも、センセと喋る。 センセ、風邪かしら?と、声でない声で訊ねる。一応センセも喉やら熱やら診てくれた後、耳鼻科に回されそこでも同じように診察を受けまた内科へ戻ると、それらしい診断結果を出してくれた。 2週間以上に渡って、長引くことは無いとは思いますが…というその診断結果を抱えて、これまた自分で笑うしかない状況だった。 そんな中で、わたしはペットだけには声は出てた。いや、声というより「大宴会でハシャギ過ぎた明け方のオカマ声」だったが、出るには出たし喋ることが出来たことが嬉しかった。 その事には触れずに、喋り捲るとセンセの予想した期間よりずっと早くに声は出るようになったし、処方したであろう薬の効果を待たずして平常に戻った。なんたって、処方された薬は睡眠導入剤と変わりないようなものだったし、それなら以前から貰っていたから、その時は貰わずに帰ってきた。 今だから言えると、当時その状況は伝えられなかった人にその旨を伝えると、何の構えもなく聞いてくれたのも、ありがたかった。 医者は何某かの病名を付けるし、付けてもらったほうが安心することもあるけれど、時にそんな症状に名前を付けられると、かえって焦ってしまうもんだと思った。
新しい生活のリズムに慣れることは、私にはとても難儀に感じることがある。 だからとて、何時までもその場に居られるわけでなし、早く慣れようと頑張らないだけなのかも。 前のめりにならないように、するだけなのかも。
覗く瞳にわたしが映ったのだから、もうそれはわたしのもの。 明け方に呟いて 4点。
『少年濡れやすく、恋成りがたし』探したのに出てこない。
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