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2008年10月08日(水) ミシュランの蕎麦屋とカウンタック



 先月の末、この正月に山で死んだ後輩の追悼登山の予定だった。今では山の行き方の定番にしてしまったやり方、前日までに 現地ホテルに登山靴から何から、道具一式を送っておき、ホテルで着替えて朝一番のバスで登山口まで行く、着ていった服は、最終の旅館なりホテルに送っておく、という方法で山に入っている。
ところが、出発の前日にちょっとした事情で、登山出来る状態ではなくなってしまい、予約していた山小屋と下山後の温泉旅館は急遽メールでキャンセルしたが、電車の切符はすでに買ってしまっていたので、当日キャンセルはどう考えても無理だと思い、無駄にするのも何なので荷物を送ってある飛騨高山のホテルまでとにかく行くことにした。
 何年かぶりの高山は、都会に流れる低周波の騒音がなく、とても静かなのには癒される。ホテルに届いていた荷物はすぐに送り返す手続きをして、後輩には申し訳なかったが、またの機会にして、今回槍平行きはあきらめた。

 翌日京都にとんぼ返りする電車の乗車まで少しの時間があったので、たまたま、この高山界隈の蕎麦屋がミシュランガイドに載った事を知っていたので、行ってみることにした。
 国道41号線に面してその店はあった。
ここをフランス人がどうやって見つけたのかは知らないが、外国人特有の思い込みによる的はずれではなかった、生粉打(十割)蕎麦、二八蕎麦、蕎麦掻きとが一膳になっているのは他の蕎麦屋ではあまり見かけなく、これは良いと思った。別にワインが置いてあるというわけでもなく、普通の職人のいる蕎麦屋だった。フランスではミシュランに載る店は必ず、男女別の厠があることが必須だと過去聞いたことがあるが、ここで厠は使わなかったので真偽は分からなかった。
 食べ終わり店を出て、駅まで少し歩いていると、町はずれの見通しのきかない狭い四つ角の信号で正面に白いランボルギーニ・カウンタックが停まった。

 世の中、アメリカが転けて、続いて日本が転けそうな時勢にも金持ちはいて、この怪物のような車を持てる人はいるものだと、横断歩道を渡りつつその車をすれ違いざま見ていると、なんと、その後続いてフェラーリ数台、ポルシェ数台、またカウンタック数台と、一列に並んで原色の十数台が爆音を発して通り過ぎていった…。
いなくなってしばらくあっけにとられて今のは何だったのだと夢から醒めた気分になった。 
 現在生活に車と携帯電話は、必ずしも必要ない。携帯電話は未だ持たずとも不便はなく、車は手放してからもう10年は経つ。ただ外国の田舎に行った時は日本ほど道路事情が良くなく、車は必要なので空港からレンタカーを運転するが日本では殆ど自分で運転することはない。
過去車の事故には三度あっていて、(いずれも歩行中轢かれた)車に乗ることが趣味にはなり得ない。ただ足として今まで乗って来た。だから、例へフェラーリをやると言われてもいらない。
 午後、特急で京都に帰ってきた。山小屋の宿泊券は先に購入していたが、期限無しに何時でも使えるので無駄にはならない。次回行った時には、ちゃんとお経も上げるつもりでいる。もう少し待っててくれ。










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