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最近、肥満計量や色々な機能が付いた体重計が壊れたのをきっかけに、体重だけが量れる簡素な計りを購入した。100種類あまり計りの意匠を見た。存在感のない、言い換えればどこに置いておいても、そこに体重ばかりの存在感のないものが欲しかった。 ようやく見つけたそれは硬質強化硝子で出来ていて、どこにおいても下の床が透けて見えるので、遠目には直接目に留まらない。 送られてきて使い始めて気がついたことがある。この量りは、つま先で手前を少し浮かせると「8」の数字が左から右へと走り電源が入る。 最初何で「8」なのか、何の意味があるのかと不思議だったが、直後に「あっ!」と思い当たった。多分中国でオリンピックが無かったら、頭の片隅では知ってはいたが、具体的には思い当たらなかっただろう。 日本製とばっかり思って会社を確かめて買ったつもりだったが甘かった。 販売は日本の計量器会社、どう見ても消え入るほどにちっチャイナ字でメイドインチャイナと書いてあった。 オリンピック開催日は言わずと知れた「8」の横並びである。中国では縁起の良い数字とされている。意匠に置いてもこういう精密なものが中国でも出来るようになったかと矯めつ眇めつ観察すると、見ている内に笑へてきた。 この計りは角のない五角形をしていて一枚板の強化硝子でできている、それを、先の部分はステンレス製の、白い樹脂製の円柱の足で支え、細いステンレスのパイプが上下の丸い足に連結され中々しゃれた意匠となっている。 ところが、五角形の切り方が左右おかしい。パイプも平行ではない。日本人が作ったら完成品としてはお払い箱にしてしまうような失敗作である。
思い立って、買ってもう何年になるかグラム単位で量れる意匠とも非常に気に入っている英国、計り専門会社ソルターハウスウエア社の計りを出してきて電源を入れてみた。今まで気がつかなかったが、これも「8888」と出た。我が家に知らぬ間に中国製が侵入してすでに久しいが、いつの間にか価値観までもが侵入していた。 計(謀)られた!?
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