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十月中頃だったか、円山公園野外音楽堂で市民狂言会があった。その時、茂山家と仲のよい*瀬戸内寂聴がゲストで「必要があって作家の遠藤周作の本を読んだ、あんまりの馬鹿馬鹿しさに、腹を抱えて笑ったら、そのはずみであばら骨を折ってしまった、お気をつけ遊ばせ」と冗談を言っていた。 そしたらなんと数日前の新聞に茂山千作氏、転んで肋骨折るのニュースを読んでまぁ仲の良いことだと笑ってしまった。
先日,共に京都名誉市民になって目出度いが骨まで一緒に折る事はない。 ところで狂言の方は、ご高齢のためか腰が据わっていなく、足元覚束ず満足に立ったり座ったりが出来ない。見ていて痛々しい。 潔く引退をした方がいいと思った。いつまでも現役でという、アメリカ型思考は止めて、潔く引き際を知り舞台を去ることで、贔屓にしてきた人々に、何時までも往時の名演を心に留めさせておく事になるのだ。 夭折した映画俳優が記憶に長く残るのに似ている。引き際が肝心。
今日元気 曲舞う舞台 可なれども 所詮昨夜の 姿は舞へず
けふげんき きよくまうぶたい かなれども しよせんさくやの すがたはまへず
*瀬戸内寂聴 …作家、尼僧。タレント。この人の実家の仏壇屋の前の通りのもう一つ南の通りにたん譚が通っていた小学校があり、この仏壇屋が火事になって、家がお釈迦になってしまうのを見ていた記憶がある。
→2001年の今日のたん譚 酒(myrte)と薔薇をめぐって。
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