西方見聞録...マルコ

 

 

ジャイアン・ワールド - 2011年05月08日(日)

 米軍によるオサマ・ビン・ラディン殺害に関してらいむさんがミクシのほうでこうんなふうに米国内の世論の高い支持(アメリカ人の8割がビン・ラディン殺害は「正しい判断」と受け止めている)を紹介しつつ、それって変じゃん?と疑問を呈しておられた。そのコメント欄に、どらちゃんがアメリカ様を「世界のジャイアン」と形容されていますが、ホント、カレの論理で世界が回ってるジャイアン・ワールドを生きているよね、私たち。

 今回の武力行動について、国際法が専門の板友mamiたんがツイッタで下記のようにまとめてくれたましたのでちょっくらご紹介。

第1のツイート

第2のツイート

第3のツイート

 今回の武力行使が国際法上どう位置づけられる可能性があるのか、今後、検証されていくのでしょうが、「自衛権の行使」になるのかな?

 なるほど911はアメリカ国内に激しい被害をもたらし、そうしたテロを根絶するための「自衛権の行使」として今回の武力行使があった。ではその論理で行くと、同じく激しい被害が生じているアフガンやイラクの人々もその被害が繰り返されないよう暴力の根絶を目指して、自衛権の行使としてホワイトハウスを急襲して武器を持たない「中の人」を処刑するのは「正しい判断」ということになってしまう(テロと戦争は違うって言うんだろうけどイラク戦争は国連決議を経なかったし、開戦理由の大量破壊兵器はなかった。あの武力行使の国際法上の正当性ってものすごくあやしい)。

 ジャイアンがそれをして、のび太がそれをしないのはなぜだ。

 片方にはそれを行使する腕力があり、片方にはそれがないからだ。

 ではもしのび太にも腕力が備われば、それを行使するのは、アメリカ流のロジックでいえば『正しい行為』となってしまう。のび太が今後首尾よく貧困削減に成功し、経済発展をなし、正しい民主主義政権が生まれ、その結果反米政権が誕生して、軍備を拡充することは『正しい行為=ホワイトハウス襲撃』への道にもなる。

 ジャイアンはジャイアンでいるために(つまり、ホワイトハウスを襲撃されないために)のび太の経済成長や社会の成熟を阻害し続けるしかない道へと歩みを進めようとしている。

 それはなんと言うか非常にゆがんだ世界のように思う。

 そんなゆがんだ世界にならないためにジャイアンがすべきことは、今すぐにオサマ・ビンラディン殺害における自らの非道を謝罪し、国際法廷において裁きを受けることだ。

 ひどいいじめをした子どもは少年期を脱するとき、その自らの行為を後悔し、改めて、初めて大人になれるのではないのか。それとも私たちはずっと子どものままのジャイアンの歌声やら暴力におびえる世界、つまり、暴力が暴力を制する世界で生きていくしかないのだろうか。

 私は大人になりたい。とても切実に。


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