西方見聞録...マルコ

 

 

緑の服 - 2009年03月29日(日)



 うちの娘たちの5〜6歳前後の一張羅はモスグリーンのツーピースである。1号さんはそれ着てワタシの前職場のTさんの結婚式に出たり、保育園の卒園式に参列した。おKさんも11月にそれ着てワタシのフィールド関係者のMさんの結婚式に参列したり、保育園卒園式に臨んだりした。そんで晴れの場でのユニフォームのように着てたモスグリーンのツーピースであるがおKさんがもう一回着用する機会が巡ってきた。

 なんとピアノの発表会である!

 昨年11月に初めてのピアノの発表会を涙の病欠をしたおKさん、リベンジである。(ちなみに11月の発表会は大人弟子も参加するけど春の発表会は子ども弟子だけの小規模発表会らしい)

 おKさんが弾くのはギロックの「海の霧」とバーディの「田舎の踊り」の2曲。

 「田舎の踊り」のほうは、幼児が発表会に弾くにはまあ、よろしいか?と言うような小品なのだが、「海の霧」は難易度自体はたいしたことないが、なんだか長いし、音程もかなりの低音から一番高い音階のところまで縦横無尽に動き回る。しかも全編ペダルを踏まねばならないので低身長のおKさんがペダルを踏みながら一番高い音まで手を伸ばすといすから転げ落ちる危険もある。練習では実際に何度か椅子から滑りそうになった。

 先生はおKさんのことをどう評価してるか謎である。

 おKさんはあのとおり自らの欲望に忠実な野獣少女なので、好きなことは好きだが嫌いなことは嫌いな人である。ピアノも本人の強い希望で始めたのだが、詰んない練習曲はあんまりやりたがらず面白い曲にめぐり合うと猿みたいにそればかり弾く傾向があった。なのでちょっとむつかし目の美しいメロディの曲はいくらでも弾けるのに簡単な練習曲で何週間も足踏みするというなんか指導者的にはむかつく少女だったと思う。その上、夕食後の時間にピアノのレッスンが設定されていたためおKさんはお気に入りの曲が終わると先生とマンツーマンのお稽古なのに寝るのである!後ろで練習を見ている母マルコは身をよじるように苦しい、おKさんの愛らしい首ががくっと後ろに倒れて眠り始めると!すると先生は冷静に部屋の暖房を切った後「Kちゃん、お外の空気を吸いにランニングしてらっしゃい」とランニングを命じる。

 このおKさんのピアノレッスン中のランニングは実はほぼ毎回、時には1日に2回繰り返されている。

 で、そんなおKに課されたのが「海の霧」だったのだ。発表会では7〜8人ずつ、4グループお稽古の年数や年齢の近いものがグルーピングされて舞台に上がる。小さい子が集まる第一グループのおKさんは最初から3番目にピアノを弾いた。おKさんノーミスで2曲ともクリア。第一グループのなかでノーミスはたぶんおKさん1人だった。親の贔屓目かもしれないが「海の霧」は第一グループの演者の演奏した曲の中で、一番長くて派手な曲だった。

 先生は眠り野獣のおKに手を焼きながら、それでも好きな曲への集中度は評価してくれてたのかな?とちょっと他の子の曲を意外な気持ちで聴いた。

 さて中学生や高校生が登場してくる第4グループはさすがに上手だった。でもまあ曲の難易度も高くなるのでノーミスと言うわけには行かないようだった。かなり曲世界を構築できる中高生の奏者によって夢心地になってるとミスタッチによって現実世界に引き戻される。壊れてみるとその存在が解る中高生が構築した夢世界。夢世界を構築するのって大変なのにがんばってたんだな、と理解する。最後に先生がショパンのものすごい大曲を弾いてくれた。豪腕をしならせてミスタッチもなく分厚い夢世界を構築してくれる。

 おKさんはどこまで行けるかな。どこでもいいけど、音を楽しめるといいな、と、思う。



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