インスパイア ガンダム 大人になってわかること セイラさんのお守り - 2007年11月27日(火) さて掲示板のほうではまだガンダム談義続いています。でガンダムはあの当時わからなくて、大人になっていく過程で、ア、あの時ガンダムでいってたのはこのことか!とはっとすることがあるというメディアなんですわ。 で、前回日記でニュータイプ理論の「人の進化」としてのばら色の局面を書きましたが、結局物語の中ではそういうユートピア的ニュータイプ論は宇宙で進化した人類による地上にとどまったオールドタイプへの服従の拒絶=独立戦争へと話がすすんでいくわけです。ユートピア論が戦争遂行のための論理に読み替えられるとき選民思想的解釈を加えられて、独立側(ジオン公国側)が全体主義的色彩を強めていくのですわ。 なんかこの革命のユートピア的言説が現実の統治理論になるとき陳腐化し、堕落するってかんじが大人になって振り返ってみるとリアルです。共産主義革命やイスラム革命とか、例を挙げるまでも無いのかもしれませんが。 まあそういう大きな物語もリアルなんですが登場人物の設定とか細かい風俗とかも大人になって、ア、アレはこのことね、って思う部分があるのですわ。 で、「セイラさんのお守り」なんですが、これは小説版ガンダムのほうで出てきます。小説版ガンダムはアニメよりさらにリアルです。アムロは物語の中盤でかなりあっけなく死にますし、登場人物の死が「リュウのモビルスーツは帰還しなかった」の1行で片付けられたりするんです。 きっと戦場ってそうなのね、というかんじ。 そこでは通信兵のセイラ伍長にアムロ曹長が恋をして二人は恋人関係になるのですが、モビルスーツ乗りの風習で恋人に陰毛をもらってお守りにしてると弾をよけられるって言うのが出てくるんですよ。それでカイさんに「セイラさんにお守りもらったか?まだもらってない?だめじゃん」といわれてアムロがセイラさんに「お守り下さい。」とお願いするんですが「人に言われてもらいにくるあなたの神経が信じられないわ」みたいな結構きついことを言われて断られます。 でこのお守りの風習の説明の箇所で「女性兵士(ウェーブ)のお守りより民間の<陸>の女性のもののほうが御利益があるといわれている」って記述があるんです。中学生だったワタシはふ〜んと思って読みました。 さて時は流れて、私は青年海外協力隊になってアフリカに行くんですが年に3回新隊員を迎える協力隊ソサエティはその新隊員に結構色めきたちます。で、新人紹介が必ずケニア協力隊誌「ウペポ」に載るんですがそのアンケート式自己紹介文に恋人の有無を書く欄がありました。そこで赴任時の恋愛状況が自己申告されるんです。なんか書いてみるとすごい風習だな。まあ2年なり3年なりの赴任中にきったはった別れた振られたといろいろ起こるし、現地のケニア人と恋をする人もいますし、隊員同士で新しいカップルを作る場合もあります。ひたすら仕事に精を出す人ももちろん多数派として存在します。意外に多かったのが赴任前3ヶ月ほど訓練所で協力隊候補生が150人以上缶詰になって訓練を受けるんですが、そこで他の国に派遣される予定の人と恋人になっちゃう例です。3ヶ月の訓練期間中に恋をして2年間の協力隊任期中を遠距離恋愛して過ごすのです。 で、そういういろんな個人事情を抱えた隊員間では日本本国に恋人を残していると言う状態がなんか一番ステイタスだったように思いました。私は当時彼氏だったあめでおさんを日本においていたわけですが、「パンピーの彼氏持ち」として時々うらやましがられました。 まあ恋愛デスマッチに参加せずに高みの見物をするから余裕があるように見られるんでしょうかね。しかしそこには本国との絆という見えないステイタスもあったように思います。 赴任初期そういう本国の恋人持ちはごろごろいるんですが時がたつにつれ、くしの歯がぬけるように本国の恋人に去られていくなんて現象も起こります。 日本国内の人々を「ドメスティックなオールドタイプ」と笑いながら、そこと結ばれた艫綱をありがたがる、なんかこの感じに「ア、セイラさんのお守り」と思ったことでした。お守りは同じ空母に乗ってる女性兵士(ウェーブ)のものより陸の女性のほうがありがたい。空の果てに消えていってしまうかもしれない己の身を少しでも地上に結び付けたい。そんなかんじです。 でも別に陰毛は男性のも女性のも誰もありがたがって持ち歩いたりはしませんでしたけどね。 ...
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