西方見聞録...マルコ

 

 

愛のお話 - 2007年06月06日(水)

 トリン・ミンハというアメリカで暮らすベトナム人で思想家であり映像作家である人の講演会と映像上映会があって出かけた。
 1970年、17歳でサイゴンからアメリカにわたったという彼女はとても小柄で涼しい感じの人だった。私が見た作品は愛のお話という映像作品でアメリカで暮らすベトナム系移民女性が自立しようと模索しながらどうしても感じる寄る辺無い不安感やマジョリティの人々から覗き見られる側の彼女からの異議申し立てがとても伝わる映像だった。

 彼女はこのほかにも天安門事件を取り囲む人々にインタビュウしたドキュメンタリー、「核心を撃て」やセネガルの女性たちを描いた「ルアッサンブルージュ」などさまざまな声を映像につむぎだしている。

 ベトナム人であること女性であること。分断にとらわれず、境界を自由に行き来する彼女に語るべき声を与えているのは彼女のハイブリットな出自なのだろうか。マイノリティだからこそ見える世界の繊細なリアリティを映し出した映像に震えた。

 そしてそんな映像に触れながらRe:Cの子どもたちのことを考えていた。マジョリティとは異なる自分を語ること、そんな自分だから見える世界を表現すること。とても難しいことだけど子ども達はその困難な行為と格闘している。いろいろな少数者の人が声を持つことではじめて「多様な世界」は実感を伴う現実になるのだろう。

 トリンの深くて優しい声を聞きながら、Re:Cの子どもたちが持つ多様な豊かさをかけがえのないものとしてあらためて抱きしめたいと思った。




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