柳川堀割物語 - 2006年01月17日(火) 柳川堀割物語ときいて、ああ、あの宮崎駿と高畑勲のあれね!と言える人はかなり通である。宮崎・高畑コンビがナウシカ後のわりとすぐの1987年にこのドキュメンタリーを世に発表している。 私はこのフィルムを18年前、成人式で帰郷した時に、池袋の文芸座ルピリエで見た。エルザさんがすごい面白いから見ておいでと言ったのだったと思う。そんでそのエルザさんは多分、私の兄からこの映画の話を聞いたんだっけかな? で、当時近代合理主義と伝統文化の相克について卒論でやりたいなと思ってた私はこの映画を見てすぐに(と言っても大学の春休みに入ってからだが)柳川に行った。青春18キップ乗り継いでトコトコ行った。ユースホテルにとまって堀割の衰退と再生をささえた社会関係とその変容を主題に調査できないかな〜と思って2週間くらい街をさまよった。でも当時の私は都市部での調査手法を知らなかったので結局、柳川はあきらめて、福島県の戸数50戸の山村をフィールドに選んだんであった。 このビデオをホントに久しぶりに行きつけの図書館のビデオライブラリーで見つけて、環境学科のNPO・NGO論のクラスで見せてみた。とにかく167分の大長編で最初の80分くらい柳川の伝統的掘割システムの考え抜かれた緻密なシステムがゆったりと語られるので学生諸君はすごく眠いようなのだ。それに1987年の柳川の風俗はなんと昔めいて見えることか。 みせる前に「これは『もう一つのナウシカ』って呼ばれてるんだよ。先生なんかこれ見て人生観かわっちゃたんだから」と前宣伝しすぎたのもいけなかったのだろう。前半90分を終えて、柳川に飛び出していきそうな学生はいなかった。 今週、後半部分をこれから見せる予定。 このドキュメンタリーが「このままでいいのか、近代合理主義一辺倒でいいのか」と世に問うた1987年からさらにバブルとその後の不況の時代を経て、時代はさらに人々の欲望を乗せた猛スピードのトロッコのように疾走している。 このままでいいのか 今こそ問われるべき問いなのかもしれない。 ...
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